友好

湯川 千恵子

今日の心の糧イメージ

以前、夫の仕事の関係で11歳の長女を頭に9歳、5歳、2歳の男児を連れて一家でアメリカのデンバーの町で暮らした時のこと。

子どもが多い我が家には近所の子たちが遊びに来て、三輪車につけたワゴンという箱車に交代で乗り、芝生の庭を駆け回っていました。

誰かが「ゲットオン・ザ・ワゴン・ヒロシ!」と言うと、5歳の次男の宏が飛び乗って一回り、宏が「おりて!」と叫ぶと、乗っていた子がぴょんと飛び降りるなど、遊びの中で子どもたちは日本語も英語も意識になく、自然に通じ合っているのです。

「子どもって凄い!」と感心していました。

ところがある日、スカイラと言う子と宏が玩具を取り合って、あわや取っ組み合い!とハラハラした矢先、側にいたスカイラのママが息子を抱き寄せてゆっくりと言いました。

「スカイラ、あなたももうすぐパパの仕事で南米のコロンビアに行くのでしょう?そこでお友達と仲良くして欲しかったら、今、宏と仲良くしてあげるのよ。」すると、きかん坊のスカイラが案外素直に納得して玩具を宏に譲ったのです。私はほっとすると同時に、スカイラのママの言葉から人間として最も大切な心を教えられた気がしました。

自分だけ良ければ・・・というのは幼児だけではありません。いくつになっても、「我が身が一番大切」というのは人間本来の姿でしょう。

だからこそ、「自分が大切なら相手も同じように自分が大切」、だから「自分にされて厭なことは人にしてはいけない」ということ。更にスカイラのママが言ったように「自分にして欲しいことを人にしてあげる」優しい気持ちをしっかり心に刻んでおくことは、家庭でも、社会でも、また国際間でも互いに仲良く平和に生きて行く上で最も大切な心構えだと思うからです。

友好

片柳 弘史 神父

今日の心の糧イメージ

熊本地震の折りに、地元のYMCAが目覚ましい活躍をした。震災が起こるやいなや、最も大きな被害を受けた益城町の総合体育館と御船町のスポーツセンターの避難所の運営を行政から委ねられ、千数百人の避難者たちの救援活動を行ったのだ。スタッフたちは、連日ほとんど不眠不休で働き、避難者たち、とりわけお年寄りや子ども、子育て中のお母さんなどにきめ細やかなケアを行った。

災害が起こるたびに、すぐにでも飛んで行って何かお手伝いしたいと思うが、実行するのはなかなか難しい。

では、なぜ熊本のYMCAは今回、これほどすばやく、効果的な支援活動を展開できたのだろう。それは、平素からの活動によって、地域の人々と深い信頼関係を築き上げていたからに他ならない。保育園や専門学校、スポーツクラブなどを通じて、何千何万もの人々と関わり、地域との間に信頼関係を築いていたからこそ、この震災にあたって行政は彼らに避難所を委ねたのだ。

平素の信頼関係の絆は、緊急時には助け合いの絆に変わり、そのまま防災につながる。熊本地震の被災地に入ってYMCAの活動をお手伝いする中でわたしはそのことを学んだ。緊急事態になったとき、急に支援活動をしようとしても手遅れなのだ。

これは、地震や台風などの自然災害に限らないだろう。誰かが病気やけが、人間関係の大きなトラブルなどで苦しんでいるときにも、同じことが当てはまる。平素から信頼関係を作っておけば助けの手を差し伸べることもできるが、普段、話したこともないような相手であれば、どんなに助けたくても相手は心を開いてくれないだろう。困っている人を助けたいという思いを形にし、愛を実践するためには、平素からの信頼関係が必要なのだ。


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