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勇気を持って歩む

村田 佳代子

今日の心の糧イメージ

「虎穴に入らずんば虎児を得ず」とか「一か八か捨て身で事に当たる」など、人は悲愴な決意を持って行動する時、周囲からは「勇気ある行動だ」といって賞賛されます。自らの安全は後回しで、物事を恐れず立ち向かう強い心こそが勇気というものです。

不正を眼にした時にきちんと指摘し正す勇気、危険が迫った人を身を呈して助ける勇気、それぞれ素晴らしい行為でありますが、何がしかの犠牲を伴うものでもあります。

とっさの勇気と異なり、日頃から勇気ある行動をとれる人、また勇気ある発言が出来る人というのは、独特のタイプがあるように見受けられます。群れないで孤高を保っているといった雰囲気です。ひとりよがりやわがままなのではなく、思慮深く強い心を持っているため、妥協出来ないのです。普段は物静かで周囲の事に無関心でいるかと思うと、いざという時、率先して困っている人を助けたり、大勢の人を大声で制したり出来るような人、いわゆる真に頼りがいのある人のことです。

でも、近頃このような勇気ある人を、あまり見かけなくなりました。災害が起こるたびにボランティアで被災地に行くなど、善意の人は昔より増えた気がするのですが、その中で、決断したり責任をとったり、結果を恐れず立ち向かうリーダーシップのとれる勇気ある人は、数少ないと思います。

高齢化と一口に言われる中で、大人は一人ひとり今までの人生経験を振り返り、様々な事柄に対処してきた自分を評価して、自信を持って提言し行動するべきです。

勇気を持って歩むとは、そういう日常の心構えから始まるのだと思います。