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人生の教訓

シスター 山本 久美子

今日の心の糧イメージ

高校卒業後の進路を決める時、私は、周りの勧めのままに、何の苦労もせず進路先を決めてしまいました。残り少ない高校生活や卒業旅行をそれなりに楽しみ、四月には入学式を迎えました。

前途洋々で嬉しいはずの入学式の当日、私の心は、全然晴れませんでした。それどころか、「こんなはずではなかった」という後悔の念で一杯になり、悔し涙さえこみあげてくる自分自身に驚きました。ひたすら受験勉強にいそしみ、晴れて念願の大学に合格した周りの友人たちや、たとえ自分の思い通りの結果が得られなくても、精一杯自分の力を尽くしてチャレンジする人たちが輝いて見え、心から羨ましく感じました。

そして、しばらくは、無責任にも安易な道を勧めた他人に責任転嫁をし、腹を立て、すっきりしない気持ちで大学生活を過ごしました。しかし、ふり返りますと、苦労や挑戦を避けてきたのは、他でもなくこの私だと実感せざるを得ませんでした。

私は、この入学式の悔しさと後悔の涙を通して、「するのは失敗、何もしないのは大失敗」ということを改めて痛感させられ、「自分の人生、自分で生きる」ということを心に誓ったのです。

もちろん、それぞれの人生は、多くの人々との出会いや関わりによって支えられ、豊かにされていくものに違いありませんが、それは、創造主である神様から与えられている人生を自ら引き受け、何かをする時、自分で選び、責任を取るということが核になると、私は感じています。

私たち一人ひとりは、父なる神によって、ユニークな存在として創られ、今も、神様の大きないのちに生かされています。

「自分の人生を生きる」ことは、そのいのちへの私たち側からの応答なのです。