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「多様性」―それぞれの使命―

片柳 弘史 神父

今日の心の糧イメージ

 世界中の貧しい人々に奉仕し、ノーベル平和賞を受賞したことで知られるマザー・テレサ。彼女のもとには、世界中から、さまざまな悩みを抱えた人たちが相談に来た。

 あるとき、先進国からやって来た一人の既婚女性が、マザーに、「あなたは世界中で活躍していますが、わたしは毎日、自分の子どもの世話ばかりで何もできないのです」と悩みを打ち明けたことがある。

 するとマザーはこう答えた。「わたしにできないことが、あなたにはできます。あなたにできないことが、わたしにはできます。力を合わせれば、この世界はきっとすばらしいものになるでしょう。」

 マザー・テレサは、世界中の貧しい人に奉仕するため、生涯、結婚しなかった。この女性のように結婚し、家族に奉仕することができなかったのだ。

 「何もできない」なんてとんでもない話で、この女性は、マザーにできなかったことを確かにしている。マザーは、そのことをこの女性に気づかせたかったのだろう。

 わたしたちはつい、他人と自分を比較して、「あの人はあんなにすごいことをしているのに、自分は何もできない」と考えてしまいがちだ。
 しかし、そんなことはありえない。「あの人とわたしでは、できることが違う」、ただそれだけのことなのだ。

 目立つ役割もあれば、目立たない役割もあるだろうが、神さまの目から見たとき、それぞれの役割のあいだに優劣などない。
 神さまは、一人ひとりに、その人にしかできない大切な役割を与えてくださったからだ。
 その役割に気づき、その役割を精いっぱいに果たすなら、この世界はきっとすばらしいものになる。そう信じて、日々、自分に与えられた役割を精いっぱい果たしていきたい。