▲をクリックすると音声で聞こえます。

中井 俊已

今日の心の糧イメージ

 48年前、大学生のとき、クラスの友人が下宿に訪ねてきて『道』という本を見せてくれました。そのタイトルは、「わたしは道であり、真理であり、命である」(ヨハネ14・6)というイエス・キリストの言葉に由来しているとのこと。

 黙想のしおりとして999の短文からなるこの本は、次の言葉で始まっていました。
 「あなたの一生が無益であってはならない。役に立つ何かを残しなさい。信仰と愛の光ですべてを照らすのだ」(『道』一番より)

 宗教に興味はありませんでしたが、この言葉には不思議と引きつけられました。それを機に『聖書』を読んでみることにし、キリスト教の勉強を始め、2年後、カトリックの洗礼を受けました。

 こうして早 半世紀近くの歳月が経過し、『聖書』とともに『道』は、私の座右の書となっていました。
 もしこの本に出合わなければ、キリスト信者になっていたとは思えません。カトリック学校に23年間勤めることもなかったし、著者の伝記をはじめ、その教えに基づく本を書くこともなかったでしょう。さらには、教師を辞めて作家になってもいなかったでしょう。
 今にして思えば、この本との出会いが、私の生き方を方向づけたのです。

 ちなみに、現在、『道』(教友社刊)は、世界で50カ国語に訳され、550万部 発行されています。著者 聖ホセマリア・エスクリバーは、1902年生まれのスペイン人司祭で、カトリックのオプス・デイ属人区の創立者。2002年に列聖されました。

 これからも私は、神様の恵みと憐みを願いながら、この本にある聖人の勧めに従って、「生活を新たにし、祈りと愛の道にわけ入り、やがて英知と分別に富む人となるように」努めていこうと思います。