受けとめる

三宮 麻由子

今日の心の糧イメージ

 教会ではいつも、隣人を愛せよ、赦し合いなさいと教えられます。私もその教えを大切にしています。

 けれど実生活では、愛や赦しという精神論だけでこの教えは実践できないとも思うのです。人間として赦すべきと頭では考えていても、犯罪被害や人権に関わるハラスメントのように、人道面から許してはいけない事象もあるでしょう。自分の身を守ったり、正しい筋を通したりするために戦わざるを得ない場面も多くあります。

 この問いを解決する答えは一つではないと思いますが、私はかなり有効な方法として、「受け止める」と「受け入れる」を切り分けるようにしてみました。

 考えや背景が違い過ぎて分かり合えない人、他人の言葉に耳を傾けない人、病気などでコミュニケーションが難しい人。そうした人々とかかわる必要があるとき、私はまず、相手の考えや状況をそのまま理解することに努めます。なぜあの言動があったのか、何が背景なのか、どんな症状なのかと考えるのです。

 それができたら、次は「受け入れる」かどうかを考えます。相手はこうだけれど、寄り添うことはできない。この状況の人ならこのように対応してみよう。相手の状況は分るが、ここは私の状況を理解して協力していただかなければ困る・・・。簡単にはいきません。すんなり受け入れられることもありますが、多くはいわゆる落としどころを探して部分的に受け入れながら共存しているのが現状でしょう。

 それでも、まずは正確に受け止めることが、私には大変効果的な方法になっています。また、受け止める技術が磨かれれば、心の目の曇りが薄まり、神様からの大切なシグナルも受信できる確率が高まるような気もしているのです。