「心の糧」は、以前ラジオで放送した内容を、朗読を聞きながら文章でお読み頂けるコーナーです。

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坪井木の実さんの朗読で今日のお話が(約5分間)お聞きになれます。

真の強さ

シスター 山本 ふみり

今日の心の糧イメージ

 逆境にある時に這い上がれる力、立ち直れる力こそが「真の強さ」だと私は思う。自分はどうかと振り返ると、周りに助けてもらってやっとこさの生き方をしていたように思う。

 父と母は心配や寂しさは人一倍だったようだが、私が修道院に入ることを喜んでくれた。

 あの時の心の震えを今でもなぜか覚えている。大丈夫だろうか? やれるだろうか?だめで元々、挑戦したい気持ちの方が勝っていた。

 同じ土地で孤児たちのために働くシスターたちの姿は輝いて見えた。修道会に入ったのは15歳の高校生からで、資格取得にも長~い時間がかかった。一度仕事に就いた後、看護学校に入学、その後また仕事に就き、夜は看護専門学校に30歳で入学、3年で卒業したが、それでも上には上がいて50歳の看護学生さんもいた。私はそれが励みになって頑張れた。途中で辞めていく人もいたので資格を取ることの厳しさを知ったのもこの時だった。修道生活をしながらだったので尚更姉妹(シスター)達には助けて貰って、私一人の資格取得ではないと感じたのも覚えている。

 それから今日まで病院で看護の仕事を続けることが出来たのも、この時の厳しさと苦しさの実りだと思う。あの時は苦しかったし、バスの中ではよく眠っていて、乗り過ごしたこともあった。

 苦しさの中でこそ頂ける恵みと力がある。主と共に苦しめるならなお良いが、一人ぼっちでないことは確かだ。

 苦しみが教えるものは決して裏切らないし、いつかきっとその人自身の支えになるはずだと確信めいているところがある。

 神様と人が織りなす布は神の愛を知り、人を温める事でしょう。

 生きるのが辛く厳しい世の中にあっても「真の強さ」を感じながら、そんな温かい布に私もなれますように。