「心の糧」は、以前ラジオで放送した内容を、朗読を聞きながら文章でお読み頂けるコーナーです。

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坪井木の実さんの朗読で今日のお話が(約5分間)お聞きになれます。

手助け

林 尚志 神父

今日の心の糧イメージ

 なんとかやり遂げた!

 よく準備も出来ず追い詰められた感じで重苦しかったのに、心軽く、嬉しい解放感があります。少しは役に立ったかな。

 歳とって、70歳以上も差の有る元気な高校生に話を頼まれると、頼まれた当初は話す相手の若者達を想像して、胸がときめきます。しかし当日が近づくと気が重くなります。

 話を聞く若者達のこれからの人生に少しでも役立ってほしい。自分のその頃に、魂を込めて語り掛けてくれた先輩はいたのかなと、振り返ります。自分が気付かず憶えていないだけで、数知れない人々の語り掛けがあった筈です。

 そして、ふと思ったのですが、若者達に語り掛ける「話の場」に立つそれ迄に、実に多くの数知れない人々の「手助け」が有ったのだと。

 例えば話の場に出向く時、駅まで迎えに来てくれた人、帰りに重たい荷物を引き受けてまとめ送ってくれた人、マイクを調整してくれた人、話の後、主催者と会う所にお茶などの飲み物を持って来てくれた人などの、様々な「手助け」無しではその時の話は成り立たないのです。

 人生は手助けに囲まれて成り立っているのかなと思います。

 「今日 日曜日、ミサに行きます。空模様おかしいし、車で行きますから乗ります?」「わざわざ回り道になるのに・・」「大丈夫ですよ、それでは待っていてください、着いたら知らせます」。これは「足助け」ですね。

 そういえば先日、エスカレーターの無い駅の階段で、重い荷物を持って少し難儀をしていると、後ろから「大丈夫とお見受けしますが、お持ちしましょう」と手助けして下さる方がいてくれました。その時、その方を通して神さまの手助けを感じ、今も感謝の思いで心嬉しいのです。