「心の糧」は、以前ラジオで放送した内容を、朗読を聞きながら文章でお読み頂けるコーナーです。

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坪井木の実さんの朗読で今日のお話が(約5分間)お聞きになれます。

はじめましょう

堀 妙子

今日の心の糧イメージ

 1月31日は青少年の父と言われる聖ヨハネ・ボスコの記念日です。通称、ドン・ボスコと呼ばれます。1815年8月16日にイタリアのベッキ村で生まれ1888年1月31日に帰天しています。

 ドン・ボスコは、特に産業革命時に口減らしのために農家を出てトリノに来た青少年のために働きます。

 ドン・ボスコと青少年とのエピソードはたくさんありますが、私は理髪店で働き始めた少年の話が好きです。

 少年は理髪店の掃除などをしながら、少しずつ技術を身につけようとしています。

 ある日、ドン・ボスコは散髪がてら少年の働いている様子を見にいきます。

 店主は少年に、ドン・ボスコのひげ剃りを頼みます。彼がひげ剃りをするのは初めてです。ひげ剃りの泡をカップで作り、ハケでドン・ボスコの顔にぬります。カミソリをもってドン・ボスコの顔のひげを剃ろうとするのですが、ガタガタ震えが止まりません。そこでドン・ボスコは少年に言います。

 「はじめてごらん。そうしないといつまでたってもできないよ。さあ私からはじめよう。がんばれ!」というのです。少年は震えているためドン・ボスコの顔は傷だらけになりますが、とにかく最後まで剃り終えます。少年は最後までがんばった!

 私も語学で、文法書を読んで勉強するまではいいのですが、話すことが苦手です。そんなとき、日本語で苦労した宣教師に聞いてみました。すると、「あなたは水泳の本は読むけれど、プールや海に飛び込まないだろう。飛び込まなければね、そして、泳がなければね」と言われました。

 失敗や恥を恐れず、「はじめましょう」。