「心の糧」は、以前ラジオで放送した内容を、朗読を聞きながら文章でお読み頂けるコーナーです。
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(月~土)毎日お話が変わります。

坪井木の実さんの朗読で今日のお話が(約5分間)お聞きになれます。

これまでの人生で、たくさんの出会いと別れを経験してきました。その中でも一番心に残り、いつかどこかでもう一度会いたいと思う人がいます。「尋ね人」の依頼をして探してもらいたいくらいです。
それは、幼い頃のたった一人の親友です。彼女は、今の私にとっても特別な存在です。幼稚園の頃、私は引っ込みがちで、友だちという友だちもなく、毎朝登園しぶりを繰り返していました。彼女は、そんな私に「友だちになりたい」と言ってくれました。私は、その友人のことを今も忘れられず、折に触れて思い出しています。彼女の存在は、幼い頃だけではなく、私の人生全体の救いと云っても過言ではないと、今も感じています。
アルバムで、幼稚園時代の自分の写真を見ると、いつも膝にきちんと手を置いて、緊張気味の固い面持ちをした私が写っています。遠足の時、大切なその友人が病気になり、私はたった一人でお弁当を食べました。大人になってから、それらの写真を見ると、幼い私の心の叫びが聞こえるような気がします。本当は、一人で不安でさみしかった、誰かと一緒にいたかったと、大人の私に訴えるような幼い頃の自分の気持ちに初めて気づき、自分自身に共感し、自然に涙がこぼれたこともあります。しかし、彼女との関わりを思い出すと、そんな暗い思い出やさみしさをも覆してくれるのです。
彼女は、小学校入学前に遠くに引っ越ししてしまいましたが、彼女との出会いによって、私は、自分自身の存在を肯定できるようになりました。お互いに幼く、何の駆け引きもなく、あるがままに関われた彼女との思い出は生涯の宝物です。彼女は、今の私にも勇気と自信、何よりも愛された安心感を与えてくれます。