「心の糧」は、以前ラジオで放送した内容を、朗読を聞きながら文章でお読み頂けるコーナーです。
「今日の心の糧」のお話しをメールで配信しております。ご希望の方はこちらからお申し込みください。
(月~土)毎日お話が変わります。

坪井木の実さんの朗読で今日のお話が(約5分間)お聞きになれます。

「多様性の一致」とは、教会でしばしば掲げられるモットーです。美しく、理想的な響きを持っている言葉ですが、実際に生きることは決して容易なことではないと、私は身をもって感じています。
修道院での共同生活の中で、私は度々、自分にとって「当然のこと」が揺らぐ瞬間に出会います。物の置き方や掃除の仕方などの些細なことから、物事の受け取り方、表現や表情の違い、時間の感覚に至るまで、人は本当にそれぞれだと実感します。
その違いに触れる度、私は戸惑い、時には振り回され、未熟な自分を思い知らされます。自分の常識が世界のすべてではないと頭ではわかっていても、心が追いつかないのです。
その揺らぎの中でこそ、私は「愛するとはどういうことか」と問い直しています。愛とは、相手を自分の基準に合わせて変えようとすることではありません。相手にとって大切なことを、まず理解しようと努めることが大切なのだと、少しずつ気づかされてきました。
違いに直面する度、私は自身の狭さや頑なさに向き合い、その痛みを通して初めて、相手の立場に立つことの難しさや、相手の心の痛みにも触れているように感じます。
多様性の一致とは、理想論のように聞こえるかもしれません。しかし、むしろ互いの違いを抱えたまま、葛藤やすれ違いを繰り返しつつ、それでも共に歩み続けようとする静かな決意のようなものだと感じています。それらを超えて互いの存在を分かち合えた時、共同体の絆は深められ、そのプロセスの中で、関係は少しずつ清められていくのだと願っています。
揺さぶられながらも、小さな光を探し続ける日々が、私を少しずつ成長させ、広い心へと導いてくれますように。