小さき花の幼稚園 園舎
「たんぽぽは 春のメインの 花ですよ。」
5月はたんぽぽが長きにわたり咲きほこる季節のはじまりです。息子が小学校でこの俳句を書いたとき、おそらくそう言いたかったのでしょう。かなりストレートなメッセージです。これを読んで私は微笑みました。
たんぽぽといえば、幼い頃お向かいに住んでいた家族のことをいつも思い出します。毎年その女性は前庭で膝をついて、何時間もかけてこの黄色い雑草を引き抜いていたのです。緑の芝生から根こそぎです。(そう、たんぽぽは「雑草」の類なんです!)
もし息子の詩を読んだら、この女性は絶望の吐息を漏らしていたことでしょう!その労働のおかげで手にした緑の芝生はみごとで、とても美しい姿を見せていました。たんぽぽってきれいなのになあ、幼いながらにそう感じたのを覚えています。人がたんぽぽを好まないのは、もとから毛嫌いしているわけではなくて、徐々に慣習によって身につけていくからなのだろう、と当時は思っていました。
コーヒーやワインの味を徐々に覚えていくように、私も大人になればきっと熱心にたんぽぽを根こそ抜きはじめるのかも知れないな、と。
私も歳をとりましたが、未だにたんぽぽを毛嫌いするような傾向はないようです。それでも、お向かいの女性の行動は理解できるような気がします。彼女が芝生のたんぽぽを根こそぎにしたのは、それが醜いからではありません。子どもがたんぽぽを手にとる姿に誰があらがうことができましょう。また、たんぽぽが害を及ぼすからでもありません。事実、たんぽぽは土壌の質を高め、西洋たんぽぽは食べて体に良いものです。
彼女が芝生からたんぽぽを引き抜いたのも、芝生の全体像にはじめから計画的に含まれていたわけではなかったからで、それで歓迎されなかったということです。
コリーン·ダルトン