江上天主堂(長崎・五島市)
④信徒による教会づくりに向かって-1
この総集編を書き下ろすにあたり、はじめに現在日本の教会を取り巻く様々な問題点を取り上げました。しかし、現状はこれらの問題以外にも山積していると思います。ここで取り上げた幾つかの問題を見ると、気付かされることがあります。
それは今日、日本の教会で起こっている問題の多くが、日本社会も抱えている問題と同じであることです。言い換えれば、日本のキリスト教は、日本社会の中で共に生きているということです。教会の問題は、常に福音宣教に努めることを互いに注意喚起するも、信徒間と司祭の関係(特に互いの報告、連絡、相談)、加えて健全な教会管理運営の脆弱さに気付かされます。その原因は、信徒も司祭も他人任せな"いい加減さ"を持っていたからではないでしょうか。そして第二バチカン公会議後、"これからは信徒使徒職、信徒の教会の時代だ"と一方的に話されても馬耳東風、時間だけが過ぎ去りました。その結果、どの教区も"司祭が不足してきたから"、"少子高齢化だから"と責任転嫁するように、ご時世だから「仕方がない」という被害者的な消極的信徒使徒職、現状維持の信徒教会に方向転化したのではないでしょうか。
新たに出版された「第二バチカン公会議公文書・改訂公式訳(2013年)」は、そんな私たちに"もう一度、公会議の精神の理解を深め、初心に戻って再出発しましょう"という励ましの意も込められ、一人でも多くの方に読んでいただければと、初版よりも分かり易く改訂されました。
1965年に閉会した第二バチカン公会議は、多方面にわたり社会に開かれた教会の刷新がありました。その刷新のための推進運動もたくさん全国で行われました。しかし、いずれも十分に果たされないまま、いつの間にか忘れ去られてしまいました。何が原因であったのか?どうして継続することができなかったのか。また、いつの間にか忘れられた種々の運動、活動は、その理由を明かされないまま消滅していきました。
どうしてそうなってしまったのか。もう一度、当時の教会の姿を思い起こしながら、その原因を探求したいと考えました。
心のともしび運動 松村信也