2022年12月のキリスト教の歴史
ブルゴス大聖堂(スペイン)

明日の教会に向けて

②第二バチカン公会議公文書-7

『信徒使徒職に関する教令』

終わりに;

 第二バチカン公会議は、時代と共に移り変わる使徒職について論じられたのではなく、望ましい使徒職、つまり、初代教会において行われていた使徒職に戻ろうとしているのです。それはまたキリストの教会が将来ともに益々活気ある「宣教する教会」となるためには、信徒の使徒職を重視した「画期的出来事」と呼ばれる公会議の精神を実践していくことでもあります。

 我が国はカトリック教会の開発途上国であり、未だ宣教国である日本の教会が、第二バチカン公会議の精神を受け止め、さらに前々教皇ヨハネ・パウロ二世来日に鼓舞されて1984年「日本の教会の基本方針と優先課題」を発表しました。
 そして、まだ記憶している信徒も多いと期待する、長年の夢を叶えた戦後日本の教会の一大イベント、第一回福音宣教推進全国会議(NICE-1)「開かれた教会づくり」が、1987年京都教区で開催されました。この6年後1993年には、第二回福音宣教推進会議(NICE-2)「家庭の現実から福音宣教のあり方を探る」が、長崎教区で開催されました。
 ところが幸か不幸か、これからと意気込んでいた矢先の1995年1月阪神淡路大震災が関西地域を中心として宣教推進活動に否応無しに歯止めをかけられたような格好となってしまいました。
 さらに追い討ちをかけるように同年3月には、東京霞ヶ関で地下鉄サリン事件が勃発、宗教法人のオーム真理教による事件でこれを契機に宗教法人全体が揺るがされることになりました。1997年には宗教法人法の改正により、宗教法人格を持つ各団体は、その事務手続きに追われ、宣教推進ムードが一転して団体組織の行政改革ムード優先となりました。それらが契機か定かではないが、いつしか、次第に信者の心から宣教推進意欲がどこかに置き忘れられてしまったように思います。

 第一回全国福音宣教会議開催から20年後、司教団はNICEの振り返りを実施しましたが、あまり積極的な意見を確認することはできませんでした。そして、あれからまた20年が過ぎた2022年現教皇フランシスコの命を受け2023年バチカンで開催される「シノドス」(世界代表司教会議)に向けて、信徒も参画する "ともに歩む教会のためー交わり、参加、そして宣教" と題した信徒から現場を反映させる意見収集が全国的に実施されました。現代カトリック教会が抱える具体的な問題を、2023年のシノドスでどのように信徒の意見を反映させるか、そのためには信者一人ひとりの前向きな参画にかかっているのです。
 もう後のない日本の教会だと思います。この機会を信者一人ひとりが、真剣に受け止め自発的に参画できますように。

心のともしび運動 松村信也