2022年12月のキリスト教の歴史
セゴビア大聖堂(スペイン)

明日の教会に向けて

②第二バチカン公会議公文書-5

『信徒使徒職に関する教令』

第五章:守るべき秩序について

 信徒使徒職はいかなる場合、いかなる場所であっても必ず根底にキリストの愛に基づく正しい秩序において、活動が遂行されなければなりません。ここで教令は、その秩序に二つの方向があることを指摘しています。

 まず初めに、縦の方向における秩序、聖職位階ヒエラルキアとの関係です。つまり、福音書の中で言われる教師として派遣された12使徒の後継者である司教(司祭)との一致における秩序です。司教たちは「どうか、あなたがた自身と群れ全体とに気を配ってください。聖霊は、神が御子の血によってご自分のものとなさった神の教会の世話をさせるために、あなたがたをこの群れの監督者に任命なさったのです。」というこの任命された人たちです(使20:28)。また本教令24項で記されているように、どのような事業も、教会の正当な権威の同意がないものは、「カトリック」という名を自称することはできないのです。つまり、カトリックの組織とは認めないということです。したがって、信徒使徒職は縦の方向における秩序の一致、個人によるもの、組織団体によるものを問わず、すべて司教との一致において初めて神の民として教会の行使する使徒職となるのです。このことが信徒使徒職の本質的要素であると教令の中で断言しています。
 しかし、双方の本質的な性格とその違いは保つようにすることも大切です。特に、教会共同体の中で固有な役割を持つ信徒たちが、自発的に行動するのに必要な自由を奪わないことも注記しています。

 次に横の方向における秩序は、すべての使徒職団体の目指す目的は、キリストの体の発展以外にはないということです。

 使徒職の活動は、時間の流れとともに様々であっても"目的は一つ"ですから、それぞれの組織団体相互間における、尊敬と一致の精神を常に育みながら活動しなければならないのです。
 また活動が全国的レベルで行われる場合には、聖職者(教区司祭・修道司祭)と信徒間の緊密な協力も必要であり、その為に各教区、また小教区に協議会を設置することが勧められています。それは使徒的活動を助け、信徒の種々の団体や事業の調整に役立つからです。この協議会の目的は、すべての信徒のための新たな養成機関になります。
 また本教令は、キリスト者のみならずキリスト者以外の人も含むすべての善意ある人々との協力と活動にも積極的になることを勧めています。

 このように信徒は、現世の諸活動において重要な意味を持つこうした活発で賢明な一致と協力によってキリストをこの世に証するのです。