そのとき、イエスは弟子たちに言われた。「兄弟があなたに対して罪を犯したなら、行って二人だけのところで忠告しなさい。言うことを聞き入れたら、兄弟を得たことになる。聞き入れなければ、ほかに一人か二人、一緒に連れて行きなさい。すべてのことが、二人または三人の証人の口によって確定されるようになるためである。それでも聞き入れなければ、教会に申し出なさい。教会の言うことも聞き入れないなら、その人を異邦人か徴税人と同様に見なしなさい。
はっきり言っておく。あなたがたが地上でつなぐことは、天上でもつながれ、あなたがたが地上で解くことは、天上でも解かれる。また、はっきり言っておくが、どんな願い事であれ、あなたがたのうち二人が地上で心を一つにして求めるなら、わたしの天の父はそれをかなえてくださる。二人または三人がわたしの名によって集まるところには、わたしもその中にいるのである。」
本日の福音は「九十九匹を残して迷い出た一匹の羊を探しに行く」たとえ話をされた後、引き続いて語られた御言葉です。キリスト者の団体としての教会における人と人の交わりについて話されました。人々の集いから誰か一人でも迷い出たとすれば、神はその一人のために心を痛められるのです。離れてしまった兄弟に対して、どのように働きかければよいのかをイエスは教えてくださいました。
「行って」と書かれていることに注目したいと思います。相手からの謝罪を待つのではなく、あなたが行動しなさいと命じられているのです。ハードルの高いご命令です。しかし、「兄弟を得る」ためであり、まず「二人きり」で、続いて「人を増やして」、「最後は教会に申し出る」と、具体的にイエスは話されました。
「祈り」について、「どんな願い事であれ、あなたがたのうち二人が地上で心を一つにして求めるなら、わたしの天の父はそれをかなえてくださる」とイエスは約束してくださいました。「二人または三人がわたしの名によって集まるところには、わたしもその中にいるのである」。
どんなに小さな集いであっても、「心を一つにして」「イエスの名によって」祈り、集まるとき、イエスはその中にいてくださるとは、なんと心強い御言葉でしょう!
*キーワード1:一つにして
原語のギリシア語「スュムフォーネオ―」は「同じ音を出す、to sound together」という意味で「シンフォニー(交響曲)」の語源となった言葉です。音を出す仕組みも素材も音色も異なる楽器が音程を合わせ、心を合わせて、ハーモニーを奏でること、それが「祈り」であるとイエスは言われたのです。
*キーワード2:どんな願いもかなえてくださる
私たちが欲しいと切に願うものの中には、後になって、実は要らなかった、むしろなかったことが成長につながった、という経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。神は私たちの心の底にある真の願いをご存じです。そしてその願いをかなえてくださるのです。
~~ある作者不詳の詩を紹介します~~
大きなことを成し遂げるために強さを求めたのに、謙遜さを学ぶようにと弱さを授かった。
偉大なことができるようにと健康を求めたのに、より良きことをするようにと病気を賜った。
幸せになろうとして富を求めたのに、賢明であるようにと貧困を授かった。
世の人々の賞賛を得ようと成功を求めたのに、得意にならないようにと失敗を授かった。
人生を楽しむためにあらゆるものを求めたのに、あらゆるものを慈しむために人生を賜った。
求めたものは一つとして与えられなかったが、願いはすべて聞き届けられた。
神の意に添わぬ者であるにもかかわらず、心の中の言い表せない祈りはすべて叶えられた。
私はもっとも豊かに祝福された。
参考:(第一朗読:エゼキエル33・7-9)・(第二朗読:ローマ13・8-10)