その日の夕方になって、イエスは、「向こう岸に渡ろう」と弟子たちに言われた。そこで、弟子たちは群衆を後に残し、イエスを舟に乗せたまま漕ぎ出した。ほかの舟も一緒であった。激しい突風が起こり、舟は波をかぶって、水浸しになるほどであった。しかし、イエスは艦の方で枕をして眠っておられた。弟子たちはイエスを起こして、「先生、わたしたちがおぼれてもかまわないのですか」と言った。イエスは起き上がって、風を叱り、湖に、「黙れ。静まれ」と言われた。すると、風はやみ、すっかり凪になった。イエスは言われた。「なぜ怖がるのか。まだ信じないのか。」弟子たちは非常に恐れて、「いったい、この方はどなたなのだろう。風や湖さえも従うではないか」と互いに言った。
ガリラヤ湖、ヨルダン川、死海は「シリア・アフリカ大地溝帯」という大地の割れ目に沿って存在しています。ガリラヤ湖周辺は自然豊かな美しいところですが、海抜がマイナス213mと大変低く、天候が急変して強風に見舞われやすい所です。
本日の福音書では、ガリラヤ湖を舟で渡っていたときに嵐に見舞われた出来事が描かれています。ペトロたちプロの漁師がおびえる程の突風でした。夕方に舟を出すこと自体が危険を伴うことでしたが、「向こう岸に渡ろう」というイエスの御言葉に従ったために溺れそうになってしまったのです。ところが、頼りのイエスは眠ったままでした。
私たちの日常の生活にも起こりうることかもしれません。自己中心的な生活を改めて、イエスの教えに従って歩んで行こうとするとき、弟子たちのように試練に遭うことがあるかもしれません。
弟子たちは、主イエスの御言葉に従って舟を出したために、命の危機に見舞われることになりました。しかし、災難にあってはじめて、どのようなときでも、イエスが共にいて、守ってくださっていることに気づくことができたのです。
祈りましょう。
私たちが、身の安全を最優先にして、現状に留まろうとする誘惑に負けることなく、イエスの弟子となって神の招きに応えて船出することができますように。
そして、苦しむ人たちと共におられるキリストに出会い、あなたの愛に倣って生きていくことができますように。 アーメン。
参考:(第一朗読:ヨブ38・1、8-11)・(第二朗読:2コリント5・14-17)