さて今日のお祝いの福音は、マタイ福音書の最後の結びが読まれています。イエスは弟子たちに向かって語られます。「イエスに会い、ひれ伏した。しかし、疑う者もいた」と記述されているように、この場に及んでまだ疑う人がいたのです。にもかかわらず、イエスは、彼らに近づいて「わたしは天と地の一切の権能を授かっている。だから、あなた方は行って、すべての民を私の弟子にしなさい」と。
この言葉は弟子たちを通して、洗礼の恵みに授かったすべての人を指して話されていると思います。そして何をするのか。それは「父と子と聖霊の名によって洗礼を授け、命じておいたことをすべて守るように教えなさい」と。それは簡単なことではないでしょう。しかし、イエスが弟子たちに教えた事はなんであったのか。それを思い起こすことによって、どうすれば良いのかが、判るようになるでしょう。
そのためにイエスは生前、何時も弟子たちと共に過ごされた。共に過ごしていた間、弟子たちは何時もイエスから、何かを教わっていたはずです。その教え、その全てを守るように教えなさいと言うことなのです。その究極の教えは、イエスが掟と称した言葉「心を尽くし、精神を尽くし、思いを尽くして、あなたの神である主を愛しなさい。これが最も重要な第一の掟である。第二もこれと同じように重要である。隣人を自分のように愛しなさい。」(マタイ22:37-39)そして、イエスの最後の言葉「私は世の終わりまで、いつもあなた方と共にいる」と疑う者に対しても、すべての人々へ安心立命、これこそ「あなた方のこれから歩む人生の中で、どんなことが起こっても信仰を持って安心して与えられた道を歩みなさい」と教えて下さっているのではないでしょうか。
これが父の愛であり、これを実践されたのが、イエス・キリストであって、それを継続する力を注いで下さるのが聖霊なのです。キリスト者はいつも祈りの前後に「父と子と聖霊によって」と口ずさみながら額に十字を切ります。その時、同時に「私は世の終わりまで、いつもあなたと共にいる」と約束してくださったイエスの言葉を思い起こし、安心して生かさせて戴きましょう。