ルカ福音書でイエスの顕現物語の記述は、非常にその描写が素晴らしいことから絵画として良く知られています。したがって、イエスの復活物語を知らない人でも、なんとなく想像できるのです。イエスという偉大なる師を亡くし、肩を落として故郷エマオへ帰る道すがら、気づかないうちにイエスが共に歩み、彼らの悩みと失望に寄り添いながら、復活したご自身をその弟子たちに現わされた。復活のイエスと出会い喜んだ二人は、再度エルサレムの他の弟子たちのところへ戻った。そしてその弟子二人が、自分たちの身に起こった出来事を話していた最中、イエスが彼らの真ん中に出現し「あなた方に平和があるように」と言われた。弟子たちはそれまでも別の場所でそれぞれイエスと出会ったが、みんなと一緒の時に出会ったのは、初めてだったのだろう。彼らはそれまでの復活したイエスとの出会いと同様、やはり驚きと同時に恐れを感じていた。そんな彼らの姿を見たイエスは「恐れないで私を見なさい、よ~く見なさい。まだ疑っているなら私に触れて見なさい」と言われた。それでも不思議がっていた弟子たちを見て「何か食べ物があるか」と言って彼らの前で食した。この非現実的な顕現と現実的なものとするイエスの言動とその顕現。このイエスの復活を確認し、その現場の立会人・イエス復活の立証者となるのは、イエスが愛し、育んできた不信仰な弟子たちだった。しかし、この日、この時から不信仰であった弟子たちは、イエスによって変えられました。「信じない者から、信じる者」に変えられたのです。変えられた弟子たちは、イエスが生前話していた言葉の一つ一つを想起し、話されたすべての言葉が、紛れもない真実であったことを確認したのです。それによって後に彼らは、イエスが生前宣べ伝えた「神のみ言葉」に確信を持ち、すべての民に告げ知らせる力と勇気と忍耐力を備えたのです。イエスの復活に確証を得た直弟子たち、その同延長線上にイエス・キリストの洗礼を受けた者・私たちも同じ確証を持ち、喜びの福音を宣べ伝える義務が与えられています。