2021年03月07日の聖書の言葉

この神殿を壊して見よ。3日で建て直してみせる。(ヨハネ2・19)

 イエス様が憤り、神殿の境内で商売をしていた人々の店を滅茶苦茶にした。映画「パッション」でこの箇所のシーンは、見た者に強烈な印象を与えました。

 この箇所をよく読むと、ヨハネの福音とマタイ、マルコ、ルカの福音に少し相違があることに気づきます。そこから今日の福音でイエス様の怒りの理由が、観えてきます。「わたしの父の家を商売の家とするな」に対してマタイ、マルコ、ルカでは「わたしの家は祈りの家」といいます。また「神殿を壊してみよ。3日で建て直す」この言葉は、ヨハネ福音だけです。さらに境内で売られた羊や牛もヨハネ福音だけです。もう一つ、ヨハネ福音書の神殿の出来事は、イエス様の宣教の序盤に置かれていることです。

 これらから推察すると①先ず生贄となる生き物や神殿税は、特別なものを必要としていたので巡礼者への便宜を図る目的で商売が始まった。②ところが場所が神殿、そこに何らかの利権が発生し、様々な不正行為が行われていた為に、この出来事が起こった。「商売の家にするな!」とは、その為でした。③またしるしを求めるユダヤ人に対して「3日で建て直す」と言ったイエスの言葉には、ご自身が生きる生贄となることを示唆した言葉といわれます。そのしるしの先駆けとして、他の福音書にはない神殿で売られていた羊と牛を付加したと学者は言う。聖書の中でこれ程憤られるイエス様の姿は見られないのです。つまり、イエス様はご自身の言動すべて誠心誠意、命を懸けて届けているから、真摯にすべてを受け止めて欲しいと願っているのです。「エルサレムを思わず、最上の喜びとしないなら、私は口がきけなくなった方が良い。」(詩篇137・6)