祈りへの招き

　今日のたとえ話は、絶えず祈り求めていれば、必ず神は聞いてくださる、というイエスからのメッセージです。その当時の裁判官の中には、自分の利益にならない裁きには関心がなく、些細な利益しか見込めない争いごとにはなかなか関与してくれない裁判官もいたようです。

　イエスはそんな裁判官を持ち出して、ユダヤ社会のなかでも弱い立場であった未亡人に対する態度をあからさまに皮肉っています。そんな裁判官でもしつこく裁きを求められれば、面倒に思って裁きを行う、とイエスは話します。実際にはそんなことはめったになかったはずでしょうから、そんなことがあれば良いなと思って話を聞いていた人が多かったことでしょう。

　イエスは、不正な裁判官でもやもめの裁きをすることがあるなら、神が裁きを求める人の祈りに耳を傾けないことはない、と断言されます。確かに神は裁きを求める人の祈りを聞き入れて、すみやかに裁きをしてくださるに違いありません。でも、裁きの結果が自分の思っているものとは異なっているかもしれません。多分、自分の思ったような裁きではないことの方が多いでしょう。それでは、私たちは祈ることを止めてしまうのでしょうか？

　「人の子が来るとき、果たして地上に信仰を見いだすだろうか」の言葉は、望むような裁きが得られない私たちへの忠告でしょう。私にはイエスが、「求めたことが得られなくても、あなたの祈りに神は耳を傾けておられるのですよ。それを心に留めておきなさい」と言われていると感じられます。

　私たちの祈りに耳を傾けてくださっている御父の存在を感じて、これからも祈り続けましょう。