2023年10月のキリスト教の歴史

聖地イスラエルでいただいた恵み

第一回 ガリラヤ湖

 ガリラヤ湖畔は、イエスの弟子の召命や宣教の舞台となった所です。
 ヨルダン渓谷にできた湖で、海抜はマイナス212mの谷底にあり、しばしば強風に見舞われます。琵琶湖の4分の1の広さを持ち、聖ペトロの魚など、多くの魚が生息する美しく、豊かな湖です。イスラエル最大の淡水湖であり、重要な水源としても利用されています。

20231015-2.jpg ガリラヤ湖を臨む丘に、修道院と修道院が経営するホテルがあり、そこに宿泊することができました。敷地内に「山上の説教教会」が建つ自然豊かな場所です。

 教会堂は、「山上の説教」の冒頭部の「真福八端」(真の幸福を8つの短い言葉で説かれたもの)にちなんで、8角形の形に作られています。広い庭には、ミサができる場所がいくつも設置されています。私たちもガリラヤ湖を眼下に望む風薫る丘でミサに与ることができました。

20231015-3.jpg イエスはこの丘に登り、腰を下ろして、集まった大勢の人々に「山上の説教」(マタイ福音書5~7章)と呼ばれるお話をされました。丘に登り「腰を下ろされると、弟子たちが近くに寄ってきた」(マタイ福音書5章1節)。弟子たちは大勢の群衆とイエスの間にいて、群衆をイエスに取り次ぐ役割を果たしたのかもしれません。
 「あなたがたは地の塩、世の光です」「敵を愛しなさい」「こう祈りなさい(主の祈り)」「狭い門から入りなさい」等など、イエスの教えがぎゅっと詰まった珠玉の聖句です。

 遊覧船に乗ることもできました。弟子たちがイエスと過ごし、様々な体験を得た湖です。イエスが湖上を歩かれ、嵐を静められた同じ場所にいて、同じ風景を見て、同じ空気を吸うことができたことに感謝しています。

20231015-4.jpg 1986年にガリラヤ湖岸から古代の舟が発見されました。炭素判定の結果、イエスの時代のものであることが判明しました。泥の中に2千年間埋もれていたために軟らかく脆くなっていた舟を慎重に修復し、公開されています。長さが8mあり、十数名が乗れる大きさのものです。展示を見ながら、漁師であったペトロたちがオールを漕ぎ、イエス一行を乗せた舟が湖を進む姿を思い浮かべていました。

 「ガリラヤ湖は豊かな恵みをもたらす湖です」、これが私の感想です。

心のともしび運動 阿南孝也


 この夏私は、カトリック学校の教員を主な対象とする「イスラエル聖地巡礼の旅」に参加してまいりました。 聖書に登場するエルサレムとガリラヤ湖周辺の街を巡りながら聖書世界を学び、 祈りながらの旅を通して神様とのかかわりを深め、子どもたちに神様をより良く伝えるための研修でした。

 しかし現在、イスラエルは報じられているようにとんでもない事態となっています。
 教皇フランシスコは10月9日、バチカンのサン・ピエトロ広場で訴えかけられました。 「・・・全ての戦争は敗北です。イスラエルとパレスチナの平和を祈りましょう」と。
 この連載を中止しようかとも考えましたが、1日も早い停戦への祈りを込めて、 巡礼でいただいた聖地での学び、気づきにつきまして、毎月一回、ご報告をさせていただこうと思っています。