バリア(障壁)をなくすために

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 「ロゴス点字図書館」(社会福祉法人ぶどうの木、理事長菊池功大司教)の機関紙(2024年7月号)に「さわる研修会」(東京都江東区視覚障害者福祉協会主催)のレポートが紹介されていました。

 研修会では、洗剤や紙パンツなどの製品を手に取っての意見交換がおこなわれ、参加者からは「まず知ることができてよかった」、業者スタッフからは「勉強になった。今後工夫していきたい」との感想が述べられ、お互いの理解が深まり、有意義な研修会であったとの報告でした。消費者からの要望を受けてギザギザのついたシャンプー容器が生まれたように、誰にとっても使いやすい製品が開発され、暮らしやすい社会が実現できることを願っています。

 2006年に国連総会で「障害者権利条約」が採択されました。翌年には日本も署名し、「障害に基づく差別」を禁止し「障害者雇用促進法」の改正を進めるきっかけとなりました。

 "Nothing about us without us."(私たちのことを、私たち抜きで決めないで)をスローガンに、障がい者の方々が主体となって国連での採択が進められたことは、特筆すべきことではないでしょうか。

 駅のホームから視覚障がい者が転落して亡くなるという痛ましい事故が起きました。連日「ホームに柵を設置しなければ」との報道がなされ、都心を中心に設置が進められてきました。
 ところが、ある視覚障がい者の方が、この動きに小さな疑問を感じておられることを知りました。

 「もちろん柵があれば安心です。でも、すべての駅に設置することは困難でしょう。ホームにいるのが視覚障がい者だけという状況は考えにくいのではないでしょうか。方向を見失っているなど、危なげな動きが見られたら、まず健常者が声をかけて介助してくださればありがたいのです」とおっしゃるのです。

 障がい者と健常者がともに暮らす、誰もが住みやすい街づくりのために、ハード面の充実はもちろん大切ですが、同時に、正しい知識と関心を持って助け合うという、心の面の充実が欠かせないのだと思います。

心のともしび運動  阿南孝也