ともに歩む(シノドス)ために

毎月のお便りイメージ

 8月に入り猛暑の中いかがお過ごしでしょうか。皆様どうかご安全にご健康にと願いお祈りしています。
 今月のお便りでは「ともに歩む」ということを教皇フランシスコのお話からお伝えしたいと思います。

 8月6日は「主の変容」の祝日です。ペトロ、ヤコブ、ヨハネを連れて高い山に登られたイエスは、光輝く栄光のお姿に変わり、エリヤとモーセが現れて語り合っていたと聖書は伝えています(マルコ福音書9章2~8節)。

 教皇フランシスコは、2023年四旬節メッセージの中で「主の変容」を取り上げて、努力と犠牲を要する山登りと現在教会が取り組んでいる「シノドス」の歩みと重ねて「主イエスと共に高い山に登り、私たちの信仰の欠けている部分を克服し、イエスの十字架の歩みに従うことができますように」と話されました。

 「シノドス(世界代表司教会議)」はギリシア語で「ともに歩む」という意味を持つ言葉です。教皇は、個人と教会の変容を実現するためのポイントとして、山に登り「神の声に耳を傾ける」こと、そして山から降りて「日常生活の中で体験した恵みを生かす」ことが大切であると述べられました。

 ご変容の最中に、雲の中から「これはわたしの愛する子。これに聞け」という声がしたと福音書は伝えています。父なる神は、現代を生きる私たちに対しても「イエスに聞き従いなさい。イエスはわたしの愛する子だからです」と語りかけておられます。この呼びかけを心に留めて、教会や日常生活で出会う人々や、助けを必要とする兄弟姉妹を通して語られる御言葉に、耳を傾けることができますように。

 昨年10月ローマで開催されたシノドスは、従来の代表司教会議とは、構成員もスタイルも大きく異なるものでした。枢機卿、司教、司祭、修道者、信徒が一堂に会し、多数設置された丸テーブルに11名ずつが座って、霊における会話・分かち合いが行われました。ともに歩むシノドスの主役は「聖霊」です。

 私たちの生活の場は、教会とは異なる環境にあることが殆どかもしれません。それでも、家庭や職場が転機を迎えたときや出口の見えない難題に遭遇したときには、シノドスの精神を生かして、「沈黙のうちに祈る」「自分の体験、意見を語る」「他者を尊重し、相手の発言に注意深く耳を傾ける」ことを心掛けて、ともに歩んで下さる神に信頼して、信仰の旅路を歩んでいくことができますように。アーメン。

心のともしび運動 阿南孝也