宮津教会天主堂

毎月のお便りイメージ

 8月は酷暑の中、多発した自然災害。現在もなお困難の中におられる方々が多くいらっしゃることでしょう。
 どうか1日も早く平穏な日常がお過ごしになれますように一同心合わせてお祈りしています。
 さて、今月のお便りでは京都府の宮津教会にまつわるお話をお届けいたします。

 カトリック宮津教会「洗礼者聖ヨハネ天主堂」は2024年1月、国の重要文化財に指定されました。
 同教会の献堂記念日にあたる5月6日には、京都教区大塚司教様の司式で記念ミサが捧げられました。

 宮津市は京都府の北部、日本海に面した丹後地域にあります。日本三景の一つに数えられる名勝の天橋立は同市内にあります。
 宮津教会は、1896年(明治29年)パリ外国宣教会の宣教師ルイ・ルラーブ神父によって建てられました。
 ルイ・ルラーブ神父は1885年(明治18年)に来日、大阪川口教会で日本語を学ばれ、京都のヴィリヨン神父のもとに滞在された後、宮津を拠点としてキリスト教布教に尽力されました。1895年には、地元の有力者から土地の寄付を受けて天主堂の建設が始まり、翌年に献堂式が行われました。
 現存する日本最古の教会堂といえば長崎の大浦天主堂ですが、現役の聖堂(現在もミサが捧げられご聖体が置かれている聖堂)としては日本で最も古い教会堂であると伺いました。

 聖堂はフランス風のロマネスク様式の建物で、堂内を照らす色鮮やかなステンドグラスは、ルラーブ神父がフランスから取り寄せたものです。美しいアーチを描く天井や柱には、地元丹後のケヤキが使用されました。ルラーブ神父が設計され、地元の宮大工や船大工が建設にあたられました。1927年に丹後地域を襲った北丹後地震に耐え抜いたことからも、宮津の大工さんたちの腕前の素晴らしさがわかります。
 「フランス風」で「畳敷き」! という和洋折衷の建物なのです。

 50年も前のことになります。当時大学生だった私は、宮津教会の施設をお借りして、京都カトリック学生連盟(学連)の夏季合宿に参加し、早朝のごミサに与ったことを覚えています。慣れない正座に足がしびれて、四つん這いになってご聖体を拝領したことが懐かしく思い出されます。

 女性の自立、地位向上のために、ルラーブ神父は1907年教会の敷地内に「宮津裁縫伝習所」を創設されました。師の篤い思いは「京都暁星高等学校」に引き継がれ、100年以上の歴史を持つミッションスクールとして豊かに実を結んでいます。

心のともしび運動  阿南孝也

*写真
 宮津教会天主堂裏手より ルイ・ルラーブ師が植えられたクルミの木。
 今も信徒たちに大切に守られています。