Let it be

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 カトリックの暦では「聖週間」と呼ばれる期間に入っています。
 イエスさまのご受難を思い、あらためて、教えてくださった「主の祈り」を心を込めて唱えることができますように。

 

 ビートルズの名曲「レットイットビー」は、受胎告知を受け入れたマリア様の言葉であることをご存じでしょうか。

 "When I find myself in times of trouble
 Mother Mary comes to me.
 Speaking words of wisdom, Let it be."

 悩み苦しむとき、聖母マリアが訪れて、知恵の言葉を話してくれる。

 「神のみ旨のままになりますように」と。

 "Let it be done to me as you say." (*Saint Joseph Edition of The New American Bible より)

「お言葉どおり、この身に成りますように」 (ルカ福音書1章38節)

 もっとも、作者のポール・マッカートニーは、ビートルズ解散問題や自身の進むべき道に悩んでいた折に、亡き母メアリーが夢に現れたと語っています。しかし同時に、歌詞に"my mother" ではなく、敢えて"Mother Mary"を用いたことで、多くの人が聖母マリアを連想することもわかっていたようです。

 突然天使ガブリエルが現れて、聖霊によって身ごもっていると告知されたマリア様が、激しい戸惑いを覚えたことは想像に難くありません。それでもマリア様は、ご自身の思いではなく、神様のご計画が実現されることを望み、"Let it be."と応えられて、救い主の母となることを受け入れて下さったのです。

 もう一人"Let it be."と祈られたのは、イエス・キリストです。ご受難の前夜、オリーブ山で苦しみもだえ、「汗が血の滴るように地面に落ち」(ルカ福音書22章44節)ながら、こう祈られました。

 「父よ、御心なら、この杯をわたしから取りのけてください。しかし、わたしの願いではなく、御心のままに行ってください」(同42節)

 私たちが「主の祈り」の中で、「御心が天に行われるとおり、地にも行われますように」を唱えるとき、父なる神に"Let it be."と唱えていることを心に留めたいと思います。
 (*主の祈りでは"Let it be."と同意の"Your will be done."が用いられています)

 マリア様やイエス様の祈りに倣って、自らの思いではなく、神様の思いが実現されることを願って生きていくことができますように。 アーメン。

心のともしび運動 阿南孝也