もみじパワー

毎月のお便りイメージ

 ♪秋の夕日に照る山紅葉、濃いも薄いも数ある中に、松を彩る楓や蔦は、山の麓の裾模様♪と、童謡「もみじ」に歌う紅葉(こうよう)は、今年も健在です。


 昨年もこの時期コロナ禍でしたが、紅葉の美しさ、その雅やかさに魅了され、大勢の人々が京の都に集いました。毎年、紅葉が特別な企画を奏でているわけでもなく、呼び掛けているわけでもないのに、なぜか大勢の人々の心を惹きつけ、わざわざ遠方から足を運ばせるのです。その"もみじ"の見えない集客パワーに、貧しき神父は憧れを感じさせられます。なぜなら見えない集客パワーには大勢の人々を魅了する力、貴重な要因が潜んでいるように感じるからです。
 なぜ自分には"もみじ"の様に人の心を魅了するパワーがないのか。コロナ禍、昨年の写真を見ながら考え込んでいた時、二つのことに気づかされました。


 そのパワーと貴重な要因の一つは、まず自然の力です。紅葉の見事な彩りの美しさは、人が努力して創れるものではないからです。そしてもう一つは、紅葉樹のバランスです。このバランスは、樹木への繊細な手入れと剪定によるのだと思いました。庭師の方々による、毎日の樹々への見守りと時宜にかなった剪定、これこそ隠れた大切な要因であり、自然の造形美を創造していたのです。戴いた自然をありのままに生かし、バランスよく造形し、庭園全体を引き立たせる。さらに彩(いろどり)の配置と繊細な剪定技術の結果と言えるでしょう。
 今年も、自然の力と庭師の剪定技術が織りなす造形美は、準備万端です。


 私たちコロナ禍で焦燥した人間が、自然の"もみじ"の様にありのままに生きる喜びを味わえますように。さらに、剪定された紅葉樹の様に、互いに支え合い、愛し合う生き方を選ぶことができますように。


 皆様お一人お一人の上に神様の慰めと癒し、豊かな恵みが注がれますように 祈りを込めて。

心のともしび運動 松村信也