ルカは、シリアのアンテオケアに生まれたギリシャ人の医師であった。また彼は非常に優れた多彩な才能の持ち主であったことでも知られている。特に、(ルカは)文学的にもその才能を遺憾なく発揮した。そこで彼は、新約聖書の中の福音書を記述し、また使徒言行録も認めた著者である。聖パウロの書簡から、ルカはパウロの宣教の旅に同行していたことが記されている(使行16.10、20.6)。
ルカの福音書は、ギリシャ語の美しい文体で表現され、特にイエスの特徴であった優しさ、また貧しい人を大切にしていた事を、彼はイエスの譬え話の中で明らかにしている。そして、福音書では、ルカにしか無いイエスの誕生から幼年時代を詳しく記し、聖母マリアの存在とその役割を豊かな表現でまるで絵を描くように表現した。ここにまたルカの画家としての才能をチラつかせ、文体の中でその才能を遺憾無く発揮しているのである。
こうした聖ルカの持つ多彩な才能から、後に医者の保護の聖人となり、かつ画家の保護者にもなっている。そこで現代に至るまで多くの医師や病院、また画家たちは、ルカの名前を好んで付けている。その数が聖人ルカに対してどれ程、思慕の念があったかを示しているのである。ところが晩年のルカの活動を知らされるものは無いのは不思議である。そんな聖人ルカは、ギリシャを中心に宣教を続け、ギリシャで殉教したと伝えられている。