2021年06月24日の教会の祝日

洗礼者聖ヨハネの誕生

 洗礼者聖ヨハネの誕生の記述は、ルカ福音書第1章に詳細に記されています。「彼はエリヤの霊と力で主に先立って行き、父の心を子に向けさせ、逆らう者に正しい人の分別を持たせて、準備のできた民を主のために用意する」人(ルカ1:16-17)として、神が送られたと。そして彼の誕生の次第は次のようでした。エルサレム神殿の祭司ザカリアと子どもに恵まれなかった不妊の女と呼ばれたエリザベトは、すでに年老いていた。しかしあるとき、ザカリアは天使から男の子を授かると告げられました。当然、彼らはすでに年をとっていたことから、そのお告げを信じられませんでした。信じなかったザカリアに天使は、そのしるしとしてザカリアの口を利けなくされました。

 ところがその後、エリザベトは身ごもり男の子を産みました。そして、ザカリアは天使が告げた産まれる子の名前をヨハネと名付けると、たちまちザカリアの口が利けるようになりました。誕生したヨハネは、老夫婦の愛に包まれ成長していきました。その後、彼は荒れ野で生活を始めました。ヨハネはらくだの毛衣をまとい、腰に皮帯をしめて荒野に行き、いなごと野蜜を食べて暮らしながら、イエスの到来に備え罪の許しを得させるために、悔い改めの洗礼を宣べ伝えました。ヨハネの活動は「罪の許しに至る回心の洗礼」と称され、当時大勢の人々は、ヨハネに罪を告白し、ヨルダン川で洗礼を受けました。その活動を耳にしたナザレのイエスも、ヨハネのもとに赴き彼から洗礼を受けました。その後ヨハネは、ヘロデ王の悪事を戒めたことが原因で捕えられ、処刑されました。彼は、「イエスを栄えさせ、自分は姿を消すもの」としての生涯を終えたのでした。

 洗礼者ヨハネのイエスに対する姿勢は、まさに"神の僕"として実直であったことを知る箇所があります。「わたしこそ、あなたから洗礼を受けるべきなのに・・・そこでヨハネはイエスの言われる通りにした」(マタイ3:14―15)。神のご計画どおりに洗礼者ヨハネは、誕生し、育成され、活動された。そしてイエス・キリストの先駆者として生涯「回心のための洗礼」を大勢の人々に授けました。ところが領主ヘロデに対して彼のとった行為、その罪の赦しの回心を迫りました。これが契機となり洗礼者ヨハネは、ヘロデの権威の悪用の犠牲となり生涯を終えました。聖書の中に観る洗礼者ヨハネの姿は、エリザベトの胎に宿った時から、神の御計画通りにこの世での使命を果たされた行動力のある直向きな忍耐の人であったことが窺えます。