2021年04月17日の教会の祝日

聖木曜日

 今日から始まる聖なる三日間について説明します。何故ならキリスト信者の方であっても聖なる三日間は、正式にいつからいつまでを指して言っているのか、ご存知の方は少ないと考えたからです。 先ず、聖なる三日間の数え方ですが、ユダヤ教の伝統的な1日の取り方を適用しています。

  1. 聖木曜日の夜から聖金曜日の夜が来る迄を第一日目、
  2. 聖金曜日の夜から聖土曜日の夜が来る迄を第二日目、
  3. 復活徹夜祭が始まる聖土曜日の夜から復活の主日の「晩の祈り」迄が第三日目です(「キリストの神秘を祝う」具師)。
また聖なる三日間は、イエスの受難と死と復活を一連のものとして捉え、お祝いするものなのです。そこでキリスト教会において、この聖なる三日間は、典礼上からも儀式の頂点・典礼のクライマックスなのです。これを念頭に置いて、聖なる三日間を説明します。

 

ご復活祭前の木曜日

① 聖木曜日(聖香油のミサ・午前中)
"聖香油"という「聖」の漢字はつきますが、まだ聖なる過越の三日間ではありません。木曜のこの日午前中、油を祝福して香油を聖別する聖香油のミサが、全世界の各司教座聖堂において司教とその司祭団の共同司式によって行われます。ミサで聖別された油は、教会における聖霊の働きを意味し、諸秘跡に聖霊の力を注ぐ"しるし"として使用されます。またミサ中で、司教と司祭団の深い絆と一致を表す"しるし"として、司祭団は、司教の前で司祭叙階の日の"司祭の約束"を更新します。説教の中では、司教から司祭団に向けて司祭を鼓舞する言葉が贈られます。ミサ後、世界中の何処の教区でも司教を囲んで司祭団は、食卓を共にして親睦を深めます。このミサは、慣例的に午前中に行われますが、どの国でも午前中に司教座聖堂に各小教区司祭が集まって、ミサが済んだら各小教区に戻ることが物理的に困難な地域の司祭も多く、また帰還できても距離的に遠いため、聖木曜日のミサの準備に間に合わない事態が起こります。そうした諸事情から聖香油ミサは、世界中の何処の教区も木曜日ではなく"受難の主日"に近い日あるいは主日後の月曜、火曜、水曜日の午前中に各司教座聖堂において、共同司式で執り行われる司教区が多数を占めています。

② 聖木曜日(主の晩餐の夕べミサ・夕刻以降)
 「主の晩餐の夕べのミサ」から「聖なる三日間」が始まります。「典礼暦年と典礼暦に関する一般原則」には、「過越の三日間は、主の晩餐の夕べのミサに始まり、その中心を復活徹夜祭に置き、復活の主日の"晩の祈り"で閉じる」、「聖金曜日に、また適当であれば聖土曜日にも、復活徹夜祭まで、どこでも過越の聖なる断食が行われる」と記述されています。つまり、「三日間」は、主の受難と死と復活とを一連のものとして祝う典礼です(「キリストの神秘を祝う」具師)。この「聖なる過越の三日間」は、キリスト教典礼暦の頂点であり「主の晩餐の夕べのミサ」は、最後の晩餐を直接記念するものとして、必ず夕方に行われます。また主の晩餐を木曜日に祝った最古の記録は、4世紀後半。古代エルサレムでは、ミサが終わると皆、各自家に戻り食事を済ませて、オリーブ山に集って夜中になると、イエスが捕縛された場所に移動してその場で聖書の受難の箇所を読み、イエスの苦悶を想起して涙したと伝えられています。現代でも聖週間になると世界中から、大勢の熱心なキリスト信者が聖地エルサレムを訪問、当時のイエスの出来事を再現しながら過ごすらしい。また教会の伝統に従って、聖木曜日のミサに会衆の参加なしで儀式を行うことは禁じられています。またこの主の晩餐の夕べのミサ中、世界中の多くの教会では「洗足式」が通常行われています。この習慣は、初代教会(4世紀ころ西方教会)で、洗礼式との関連で始められたと伝えられています。
* * 聖体拝領後、前もって準備された聖体安置所に行列をもって聖体を運びます * *