2021年03月19日の教会の祝日

聖ヨセフ

 教会の中でマリア様に次いで大切にされる聖ヨセフ。その証として、聖人の祝日が日曜日や聖週間と重なる場合、別の日に移動されお祝いしている。ヨセフについて聖書の中では、イエスが12歳の時に起った神殿での出来事を最後に記されていない。聖母マリアの夫、イエス・キリストの養父であるヨセフは、ユダヤの王ダビデ家の子孫であった。ヨセフは、聖書の中で観られるように目立つ人ではなく、地味で真摯な人であった。その彼が、結婚する前にマリアが身ごもっていることを知ると、それを表沙汰にすることなく、そっとマリアとの縁を切ろうとした。しかし、その夜、夢に現われた天使が、マリアを妻として迎え入れ、マリアから生まれる幼な子にイエスと名付けるようにとヨセフに告げた。不安と心配に戸惑いながらもヨセフは、イエスの養父になる使命を担った。イエス生誕後、またヘロデ王が幼な子イエスを殺そうとしている計画を夢で知らされると、マリアとイエスを連れてエジプトに避難した。その後、ナザレに戻り日常の生活を続けた。ヨセフはマリアと共にイエスを神殿に奉献するためにエルサレムに行った。またイエスが12歳の時、エルサレムからの帰路でイエスを見失ったときは、マリアと共に3日間の道のりを探し歩いて神殿まで戻った。彼の行動を聖書から観ると、真に家族思い、否、イエス思い・神から託された子を常に大切に優しく見守り育んでいたことが窺える。またヨセフは、ガリラヤのナザレで大工仕事を営みながら、一家の生計を担い、その傍ら息子イエスに働くことの大切さを、身をもって教えたことも推測される。

 このようにヨセフは、神のみ言葉を生活の中で生きることの大切さを語るのである。彼は息子イエスが、おそらくイエス20歳頃に亡くなったのではないかと伝えられている。

 名付け親、そして養父、み言葉に生きる人としてのヨセフは、後世の教会に大きな影響を与えた偉大な聖人である。その後の多くの聖人となった人たちは、ヨセフの生き方に多大な影響を及ぼされたのである。

 またヨセフは、幼いイエスとマリアを常に守ったことから、1870年教皇ピオ九世により、全教会の普遍的な守護の聖人であると宣言。祝日は3月19日。さらに1955年に教皇ピオ12世によって、5月1日を労働者聖ヨセフの日に制定。カトリック教会で聖ヨセフは「義人で忠実な人」と尊称されている。