アンパンマンとキリスト

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 アンパンマンは、幅広い年代層から愛されるヒーローです。そして、悪者を退治する他のヒーローたちとは一味違って、イエス・キリストに通じるものさえ感じさせてくれる存在なのです。

 空腹な人を見つけると「おなかが空いているんだね。ぼくの顔をどうぞ」と、アンパンマンは自分の顔をちぎって差し出します。イエスが最後の晩餐の席で、パンを裂いて「取って食べなさい。これはわたしの体である」(マタイ福音書26章26節)と言って弟子たちに渡された行為とよく似ていると思いませんか?

 テレビアニメ『アンパンマンのマーチ』の主題歌にも注目したいと思います。1番の出だしはこうです。

 「そうだうれしいんだ、生きるよろこび。たとえ胸の傷がいたんでも。
  なんのために生まれて、なにをして生きるのか。答えられないなんて、そんなのはいやだ。
  今を生きることで、熱いこころ燃える。だから君は行くんだ、ほほえんで ♪」

 人生の意義を問う言葉に溢れています。作詞したアンパンマンの原作者やなせたかしさんは「これはアンパンマンのテーマソングであり、ぼくの人生のテーマソングである」と述べておられます。

 さらに、アンパンマンは悪役のバイキンマンと対立することはあっても、決して憎むことはないのです。バイキンマンの良いところを見つけると、「そうか、バイキンマンが・・・バイキンマン、ありがとう」と敬意を払うことを忘れません。

 映画『それいけ!アンパンマン いのちの星のドーリィ』では、ドーリィという人形を助けるために、アンパンマンは命を落としてしまいます。この場面を見たとき、「友のために自分の命を捨てること、これ以上に大きな愛はない」(ヨハネ福音書15章13節)というイエスの言葉が浮かびました。

 最後に、やなせさんの思いが込められたアンパンマンの言葉を紹介します。

 「困っている人を助けた時に、心が暖かくなって、そのときわかったんだ。ぼくが何のために生まれてきたのか、何をして生きていくか、何がぼくの幸せかって」

心のともしび運動  阿南孝也

  

 *今年4月から、心のともしび運動の代表役員を務めることになりました。私には荷が重い役ではありますが、皆様方のお支えをいただきながら、スローガンのように「暗いと不平を言うよりも、すすんで灯りをつける」役割を果たしていきたいと思っております。今後ともどうかよろしくお願いいたします。
 阿南孝也*