時の糸

毎月のお便りイメージ

 コロナ禍で振り回された年末年始、そしてやはりオミクロンが拡大、混乱を招いている。見えない相手との闘いは、際限がなく自守防衛の道しかない。
 ところが感染意識過剰の為に、前倒しした仕事から狼狽している老体を俯瞰しては苦笑いする。何とかこの負のエネルギーを負の遺産と受け止めて、"正"に変換する方法は無いかと夢夢考えた。

 一日の仕事を終えて帰宅途中、疏水の水面を眺めたその時"ふっ!"と脳裏に琵琶湖の景色が浮かんだ。人生の分れ道に立たされ、どちらの道を歩むか悩んでいた頃、月に一度、週末必ず過ごした琵琶湖湖畔に佇む「祈りの家」を思い出した。
 この祈りの家は、私の原点・この道へのスタート地点である。私にとって、"この道"への養成の家であり、さらに大切な方々との出会いの家だった。
 その祈りの家が、時を超え鮮明に眼に浮かび、次々と当時のことを想い出した。食事の時に聴いた音楽、話の内容、お世話になった方々の顔が浮かんだ、その瞬間"ふっ!"と大切な事に気づかされた。

 コロナ禍によって、必要以上に外出するのを自粛したことで、人と出会うことが少なくなった。そんな中でもなぜか心を動かされた事、貴重な"出会い"もあった。時間は、誰にもコントロールされる事なく過ぎていく。同様に、時の流れの中で心を動かされた事、不思議な"出会い"も過ぎ去っていったが、その出来事だけが心に残っている。

 ある歌の歌詞が脳裏をよぎる。「縦の糸はあなた、横の糸は私・・・」。
 "その歌詞は「縦の糸は私たち、横の糸は神様だよ」"と、心の中で誰かが囁いた。私たちは、紆余曲折しながら歩んでいる縦の糸、そんな糸をいつも見守り力強く支えている横の糸は「神様」なのでは。

 今だからこそ"時"を見失わず、"丹精"に生きましょう。

 皆様の上に神様の恵みが豊かに注がれますように祈りを込めて。

心のともしび運動 松村信也