シャローム

2023年08月10日の会員さんへのお便り

 新約聖書はギリシア語で書かれましたが、「アーメン」など、旧約聖書のヘブライ語をそのまま取り入れたものも見られます。「シャローム(平和)」もその一つです。

 「その日、すなわち週の初めの日の夕方、弟子たちはユダヤ人を恐れて、自分たちのいる家の戸に鍵をかけていた。そこへ、イエスが来て真ん中に立ち、『あなたがたに平和があるように』と言われた。そう言って、手とわき腹とをお見せになった。弟子たちは、主を見て喜んだ」(ヨハネ:20章19・20節)

 平和(シャローム)の本来の意味は「傷ついた部分の一つもないほどの完全性、完璧さを表す言葉です」。 (本田哲郎著『聖書を発見する』より)

 弟子たちは、ユダヤ人に捕らえられる恐怖と、イエスを見捨てて逃げてしまった罪悪感から、家と心の扉に鍵をかけて閉じこもっていました。そこに復活されたイエスが現れて、「あなたがたに平和があるように」と言われて、手とわき腹をお見せになったと福音書は伝えています。なぜ傷跡を見せられたのでしょうか。イエスは傷跡を見せることによって、弟子たちを「赦している」ことを伝えられたのだと思います。

 「何よりもまず、心を込めて愛し合いなさい。愛は多くの罪を覆うからです」
 (ペトロの手紙一 4章8節)

 聖書が伝える「赦し」は、罪や過ちを「なかったこと」にすることではありません。多くの罪や過ちを赦されたペトロは、「赦す」とは、罪によって生じた傷痕を、愛の力で覆い、カバーすることであると悟ることができました。

 「愛はすべての罪を覆う」(箴言10章12節)

 ペトロは、罪を赦してくださる神の愛のすばらしさを、堂々と人々に宣べ伝えたのです。

 戦争や分裂、憎しみや飢餓のない世界の実現を祈ります。平和は神の恵みです。キリストがご生涯を通して示して下さった愛が、私たち人間の罪や過ちを覆い、真の平和が実現されることを願ってやみません。

 私たちは、毎週、ミサをお捧げして会員の皆様のためにお祈りしています。

 まだまだ暑い日が続くことと思います。
 どうかご自愛くださいまして実り豊かな秋をお迎えになりますようにお祈り申し上げます。
  心からの感謝を込めて。

心のともしび運動YBU本部
代表役員 阿南孝也
職員一同