18年間務めたカトリック中学高校の校長職を、今年3月末をもって退職しました。天職を与えてくださった神様に、また支えてくださった皆様に心から感謝しています。
最後の2年間は、コロナに翻弄される日々でした。学校行事、国内外での研修、クラブ活動など、かけがえのない教育活動の断念が続きました。
しかし同時に、逆境に負けない子どもたちのパワーに感心させられた2年間でした。
文化祭で見せてくれた、生徒たちの見事な突破術をご紹介しましょう。
文化祭のクラス合唱は中止に、演劇発表は、密を避け換気を徹底すれば実施可能だと、校長として判断しました。ただし、照明の効果を考えると窓のシャッターを閉めて会場を暗くしたい、でも換気のためには窓を全開しなければならないのです。
この難題を生徒たちは柔軟な発想によって乗り越えました。細かい網状の黒い農業用遮光カーテンを全開した窓に二重三重に折り重ねて取り付けることで、暗さと換気の両立に成功したのです。
模擬店は食べ物なしで飲料販売のみの実施となりました。するとどうでしょう。「山形ラフランス」「福島もも」「高知ゆず」など、全国各地からご当地限定ジュースが学校に配送されてきたのです。模擬店担当の生徒たちのアイディアでした。こうして飲み物限定の模擬店も盛況のうちに終えることができました。
できないことへの不満ではなく、創意工夫を重ねながら、今できる最高のものを作り上げようとチャレンジする生徒たちの姿を目の当たりにして、頼もしく、誇らしく思いました。
なぜ、無かった方がよいと思える苦しみや悲しい出来事が起きるのかは分かりません。でも困難な状況に見舞われたとき、家族や友人が力を合わせて立ち向かうならば、必ずや神様が共にいて、支え導いてくださると確信しています。
「恐れることはない、わたしはあなたと共にいる神」(イザヤ書41章10節)
心のともしび運動をお支え下さる皆様と心を一つにして、どのようなときも、一緒にいて励ましてくださる神様への信頼を忘れることなく、歩んでいきたいと願っています。今後ともどうかよろしくお願いいたします。
心のともしび運動YBU本部 役員 阿南孝也