ゴリラからの提言

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 新しい年が始まりました。
 今年こそ飢餓や貧困、孤独に苦しみ傷つく人々が無い世界になりますように。
 世界中の紛争が平和裡に解決されますように。すべての命が大切にされますように。
 職員一同、心を込めて祈り続けてまいります。

 さて、今回はゴリラからの提言をご紹介したいと思います。

   次世代へ引き継ぐべきもの ― ゴリラからの提言 ー

 

 人類と祖先を同じくすると考えられているゴリラの野外研究で知られる山極寿一先生(京都大学前総長)は、人類が手放してしまった大切なものをゴリラの生活の場に発見し、「ゴリラからの提言」として私たちに伝えてくださっています。

 けんかについて。 ゴリラの世界ではよくけんかが起こるそうです。しかし必ず仲裁に入るゴリラがいて和解できる、そして対立していた時よりもよりよい関係を築くことができるのだそうです。ゴリラは「勝ち負け」をつけるのではなく「引き分け」で終わることによって対等な関係を築く知恵を持っているのです。
 人類はどうでしょうか?インターネット上のサービスであるSNSによる誹謗中傷等の悲しいニュースに接するたびに、ゴリラに負けないように、お互いに関心を寄せて接する仲間づくりの大切さを感じます。

 ゴリラは食事をするとき、互いの顔が確認できる距離で集まるのだそうです。視線を合わせることは、人類とゴリラに共通する大切なコミュニケーションの方法であり、重要な情報は対面した相手の目を通して得られるのです。

 人間は相手の言葉だけでなく、目の表情から相手の気持ちを読むことができるのです。インターネットが普及し、情報の収集や発信が自由にできる便利な世の中になりましたが、家族や友人が直に顔を合わせて交流する機会が減ったことも事実です。

 オーストラリアで、16歳未満の子どものSNS利用を禁止する法案が可決されました。多くの人とコミュニケーションが取れる便利さを持つ反面、様々なトラブルも指摘されています。

 便利なツールを獲得した私たちですが、人類700万年の歴史の中で、言葉を獲得する(7万~10万年前)はるか以前から行ってきたと推察できる、家族が顔を突き合わせ、互いの表情から相手の持ちを汲み取るスキンシップの大切さを次世代に引き継いでいきたい、そう願っています。

 今日一日、そして今年一年、皆様の上に 神様のお導きと豊かな恵みが降りますように
 心のともしび運動本部のミサの中で心を込めてお祈りしています。

心のともしび運動 阿南孝也