騒音から沈黙

会員へのお便りイメージ

 窓外から今日も耳を劈(つんざ)く解体工事の騒音。もう半年以上続いていると思う。 工事現場に隣接する事務所の中では、まるで別世界にいるような宇宙人(心のともしび職員)たちが、コロナ禍で生じるストレスを発散せんと音高にキーを叩く。
 幸い今は、灼熱時と違い、また線状降水帯の日からも離れた初秋らしい季節の中、少し落ち着きを戻した。にもかかわらず、工事現場の掘削作業は続き、今も騒音は変わらない。その掘削工事、ようやく残り一ヶ月ほどで終盤を迎える。

 36年前修道会に入会した。正式に修練者として受け入れられたその年の夏、派遣先での実習を終えた修練者は、お盆過ぎの10日余りを海の家で休暇を満喫した。海の家は日本海に面した風光明媚な萩の町から車で30分程の小さな入り江にあった。そこは、浜辺と防砂林に囲まれた"ポツンと一軒家"であった。当然、目の前は日本海である。
 修練者は、個室と大部屋に別れた二棟の家で過ごした。もちろん修道生活に変わりはないが、祈り、ミサ、食事以外すべて自由であった。当然ながら皆自由に一日を過ごした。日本海の海、そこはもう信じられない美しい青の世界である。シュノーケルで水深5m程潜った。おなじみの海の生物が自由に泳ぐ姿を初めて見た。陸の音は一切届かない"クストーの沈黙の世界"である。淡いコバルトブルーが眼前に続く。引き込まれそうな海中世界に魅了され、早朝から日が沈むまで潜った。

 沈黙の美しさ、沈黙の喜び、沈黙の中の解放感。この沈黙、それはサムシング・グレートの前で"ありのままになった"時であった。あの日の沈黙を、コロナ禍の、そしてこの騒音の中で何故か想起した。


コロナウイルス感染症によって亡くなられた方々、今夏、豪雨による水害によって亡くなられた方々のご冥福と、現在お苦しみの中にあるすべての皆様のためにお祈りしています。

 

心のともしび運動 松村信也