言葉の力

森田 直樹 神父

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 私事ですが、時に、自分自身の感情によって、自らの行動が変わってしまうことがあります。やる気が出なかったり、落胆したりした時に、思い通りに何かをすることができなくなるのです。

 言い方を変えると、感情に引きずられてしまっているのですが、私自身、時々、どうにもならないことがあります。特に、落胆した時には、一歩も前に踏み出せないような、そんな気持ちになることもあります。新しい出会いや、新しい経験を拒否するような態度です。

 このような感情をおさめて、再び一歩前に踏み出すのは、なかなか簡単なことではありません。時間をかけて、自分自身が心の底から納得していく必要があります。一歩前がたとえ暗闇であっても、希望を持って一歩を踏み出すためには、時間がかかります。

 そんな時、イエス様の言葉は力になります。

 一歩を踏み出すことに躊躇していたとしても、「わたしは必ずあなたと共にいる」という約束の言葉は、いつも私の背中をそっと押してくれるのです。(参 マタイ28・20)

 一歩前が暗闇であっても、今、実際に落胆していたとしても、それでも「わたしは必ずあなたと共にいる」という言葉は、私を希望へと導いてくれるのです。

 実際、これから歩む道は、苦しみや困難が多いかもしれません。そう考えると不安の方がたくさんあります。しかし、「わたしは必ずあなたと共にいる」という言葉は、そんな私を奮い立たせてくれる言葉なのです。

 今まで、幾度となく、この約束の言葉の力によって、自分を奮い立たせることができました。おそらく、これからもそうなることでしょう。「わたしは必ずあなたと共にいる」という言葉の力に信頼して、これからも一歩一歩歩み続けていこうと思っています。

言葉の力

中井 俊已

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 言葉は人を傷つけるナイフにもなり、人を癒やす薬にもなります。

 人の気持ちを変え、行動を変え、さらには人格や人生をも変えていく力をもっています。

 たとえば、家庭・学校・職場などで、自分の努力や人格を否定される言葉を言われ続けると、誰でも自信と自尊心をなくし、生きる力をなくしていくものです。逆に、肯定される言葉を言われると、元気になってやる気も出てきます。表情が明るく行動は積極的になり、人生は希望あるものになっていきます。

 言葉は人に多くの影響を与えますが、自分の言葉で一番影響を受けるのは、誰でしょう。

 それは、たぶん自分ではないでしょうか。なぜなら自分の言葉を一番多く聞いているのは、自分だからです。

 ですから、悪口や否定的な言葉を言うよりも、できるだけ自分の心を上向きにする、前向き・肯定的・感謝の言葉を口にするように私は心がけています。

 たとえば、「うれしい」「おいしい」「いいですね」「よかった」「ありがとう」など。すると、次第に小さなことにも感謝できるようになったり、気持ちや行動が前向きで肯定的になったりして、生活が幸せなものになっていくのです。

 人間関係を良くする言葉としては、教皇フランシスコは、特に次の三つの言葉を勧められています。「いいですか」「ありがとう」「ごめんなさい」。

 自分勝手に振舞わずに「いいですか」と相手に配慮し、感謝の気持ちを「ありがとう」、間違ったときには素直に「ごめんなさい」と言葉で伝えるのです。

 三つとも相手を尊重する言葉ですから、言われた人の心には喜びや自己肯定感が生まれるでしょう。さらに、言った本人の気持ちも自ずと平安に満たされていくのです。


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