幼子誕生

古川 利雅 神父

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 幼子の誕生。 その誕生の瞬間をご自分の身において経験なさった方、ご覧になられた方、きっと沢山おられることでしょう。人間の赤ちゃんでしたら、お母さんの胎から産まれ出て、泣き声が聞こえたら元気な証拠。目が開いてなくても、見えていなくても、あどけない表情、一挙手一投足に、目や心が奪われた方も多いでしょうね。

 馬や牛などの動物の赤ちゃんは、産まれてしばらくすると立ち上がり、歩き出しますが、人間の赤ちゃんは無力。歩くこともできず何もできず、誰かに護られなければ生きていけないそんな存在...。

 この世界を創り、私たちを愛して下さる神様は、私たちのために私たちの救いのために、ご自分の愛する独り子を遣わしてマリア様の胎に宿らせ、そのマリア様から救い主イエス・キリストがお生まれになりました。

 目に見えない神の独り子が、神でありながら人となり、目に見える姿で私たちのところに来て下さったのです。今日、私たちのために「みどりご」が生まれた。ご自分の愛する子を人に委ねられた父なる神、そしてマリア様、ヨゼフ様。

 お一人お一人、救い主イエス・キリストがお生まれになるところなられたところを思い巡らしましょう。

 お生まれになるところ、ひっそりと誰にも知られていなくても、全世界が固唾を飲んで見守っています。その誕生の瞬間を父なる神も、天使たち、マリアもヨセフも今か今かと心待ちにしながら。

 そしてお生まれになられ、マリアの腕の中に抱かれた幼子。そばにヨセフがおられます。その光景を天から見守っておられる父なる神、喜びに満ちた天使たち。私たちもイエス様の誕生の光景を思い浮かべながら、喜びのうちに今日という日を過ごして参りましょう。

幼子誕生

中井 俊已

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 クリスマスには、誰か大切な人に贈り物をあげる習慣が世界中にありますね。

 なぜ、クリスマスに贈り物をあげるのでしょうか。

 それは、まず神様が私たちにしてくださったからでしょう。

 実は、クリスマス自体が神様からの私たちへの贈り物です。

 約2000年前の聖なる夜、神様は、歴史上もっとも高貴で価値ある贈り物を私たちにくださいました。すべての人に救いと大きな喜びを与えるために、神様ご自身が、人間の姿、しかも幼子となってお生まれになったのです。

 それゆえ、クリスマスの喜びはその後、世界中に広がっていきました。

 ところで、聖書の記述に比較的忠実な、『手塚治虫の旧約聖書物語』という漫画の本があります。

 この本は、主の御降誕の感動的な場面で終わります。

 言葉だけの紹介になりますが、じっくり想像してみてください。

 クリスマスの夜、輝く星に誘われて、幼子の生まれた馬小屋にたどり着いた人々は列をなして、次々と誕生の祝いの贈り物をします。

 そのなかに、ひとりの貧しい羊飼いの少年がいました。

 少年は贈り物にできるものを何も持っていません。

 ですから幼子を胸に抱くマリア様の前に出ると、おずおずと恥ずかしそうにつぶやきました。「...ぼく、贈り物、なにも持ってません」。

 けれどもマリア様は少年の手を取り、にっこり笑ってこう答えたのです。「いいのですよ。あなたは、あなたの心を持ってきてくれました」。

 そうなのです。幼子もマリア様も、救い主の誕生を祝い喜ぶ心を贈り物として受け取ってくださるのです。

 2000年後の現代、私たちが捧げる贈り物を、イエス様もマリア様も笑顔で喜んでくださいます。


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