いつも生き生きと

村田 佳代子

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 2020年1月に始まった新型コロナウィルス感染のニュースは、瞬く間に感染拡大への警戒に変わり、2月末には、多くの人が集まるイべントが次々と中止になりました。

 私の所属する教会では2月26日の灰の水曜日のミサまでは与ることが出来ましたが、3月1日からの四旬節全て、聖週間も、4月12日のイースターも、教会は閉ざされました。

 オリンピックの開催延期が決まり、4月中旬、国の緊急事態宣言が発令され、ゴールデンウイーク明け迄だったはずが、遂に5月25日まで延長されました。その後も様々な自粛を課せられました。

 カトリックの暦では、今年の聖霊降臨祭は5月31日でした。緊急事態宣言が四旬節から聖霊降臨の期間と重なったことに、私は神様からの大きなメッセージを感じたのでした。

 フランシスコ教皇様は「神は人類に試練を与えたのではなく、これまでの生活を振り返り新しい生き方を見つける機会を与えられたのです」とおっしゃいました。

 外出自粛が続き、日増しに空が澄み渡り空気が綺麗になったように感じ、いかに排気ガスで空気が汚染されていたかを気づかされました。在宅時間が増えたため普段手を付けなかった片付けものや大掃除で家中すっきりしました。日中は庭仕事に精を出す人、オンライン授業の人、読書三昧で時々イーゼルの前に立つ私、夫々に一日を過ごし、家族の顔が揃う食事時は、以前の日常生活よりずっと豊かな時間になりました。時間のかかる凝った料理もいろいろ楽しんで作りますし、以前にも増して、生き生きと前向きに日々工夫して生活できました。

 体力保持は教会往復の散歩でした。聖体訪問をして、教皇様のお言葉を噛締め、感謝を捧げた日々でした。

いつも生き生きと

松浦 信行 神父

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 私は、4人兄弟の一番上ですが、すぐ下に2歳違いの弟がいます。この弟の幼稚園でのエピソードを私はよく思い出します。

 弟は、結構なアイデアマンです。よく幼稚園で行われる作業に貼り絵がありました。一つ一つ色紙から形を切り取り、のりを付けて画用紙に張り付けていくのです。ところが弟は、一つ一つ色紙にのりを塗っていくのがどうも不合理だと感じたのでしょう。弟のアイデアは皆とは違っていました。

 弟はまず、画用紙にのりを塗り広げました。そして、画用紙一面に広げたのりが乾かないうちに、急いで色紙を切り取り、画用紙に貼り続けるのです。このやり方には欠点がありました。手間はかからないのですが、急いで色紙を切り張り付けるときに、のりが色紙に付き、色紙の色が前に張った色紙に滲んで付いてしまうのです。だから弟が作った貼り絵はいつも汚いのです。

 ある時、担任の先生が休みで、代わりの先生が来て、貼り絵をすることになりました。弟はいつも通り自分の考えだしたやり方で、貼り絵をしていました。先生がみんなの貼り絵の進み具合を見回っていた時、弟のやり方にびっくりしました。そして「松浦君」と声を掛けました。弟はまた「汚いね」と注意されると思ってびくっとしたのですが、「松浦君、あなたのやり方はすごいね。自分で考えたんだね」と褒め始めたのです。すると弟は、自慢げに「そうです」と胸を張ったそうです。

 それ以来、弟の性格が変わりました。びくびくしたような雰囲気から明るく生き生きとしたものへと。

 自分が認められた時に元気になれるという根本的なことを、子供心にその時私も感じたのでした。


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