夏の思い出

遠山 満 神父

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 数年前の夏、教会学校の子供達と、緑に囲まれたある保養施設で1泊2日のキャンプをしました。その時の体験の一つは、今でも私の脳裏に焼き付いています。

 その日の夜、子供達は少し騒いでいたようでしたが、彼らの事は教会学校の先生や引率の信者さん達にお任せして、私は早い時刻に就寝しました。

 いつもより早い時刻に就寝した所為か、私は夜中の2時頃に目が覚めました。その時刻から、森の生き物達のコンサートが始まりました。緑に囲まれたその施設の周囲には、沢山の生き物が生息していました。カジカガエル、ヒグラシ、ホトトギスや他の鳥類、コオロギや鈴虫や他の昆虫。それぞれのグループが、明け方まで、自分達で奏でる賛美の歌を聴かせてくれました。どのグループが先だったか、その順番は覚えておりませんが、不思議だったのは、一つ一つのグループの担当の時間が決まっていた事です。例えば、2時から3時まではホトトギスや他の鳥類、3時から4時まではヒグラシ、4時から5時まではカジカガエルと言う風に、それぞれのグループの担当時刻が決まっておりました。私は彼らのコンサートに魅了され、朝を迎えました。地上に、こんなに美しい場所があるのかと思えるような体験でした。

 この出来事は、私に聖書の次の一節を思い出させてくれました。「賜物には色々ありますが、それをお与えになるのは同じ霊です。務めには色々ありますが、それをお与えになるのは同じ主です。働きには色々ありますが、全ての場合に全ての事をなさるのは同じ神です」。(1コリント12・4~6)

 私も、神様から頂いたタレントを活かしつつ、あの生き物達のように、神様を称える演奏をしていけたらと思います。

夏の思い出

遠藤 政樹

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 夏が近づくと「夏がくれば思い出す、はるかな尾瀬、」の歌詞で始まる愛唱歌、江間章子作詞、中田喜直作曲の「夏の思い出」を自然と口ずさんでいます。私が大好きなこの曲は、まだ戦後で貧しかった日本中にラジオから流れていて今でも歌い継がれています。

 私は長い間、四季が美しい日本の自然と、平和な日々について書かれた歌だと思って歌っていたのですが、実はこの曲の作詞家が、戦争中に疎開していた尾瀬の様子と、終戦の思いを歌詞にされたと知った時の驚きを忘れることが出来ません。

 それ以来、この曲を歌ったり、耳にした時にはいつも、平和の中で生きる喜びと感謝をこめて、歌い継がなければと思っています。

 教会でも、暑い8月の初めには、「日本カトリック平和旬間」として、平和のために祈ることを大切にしています。

 私が少年時代、夏休みによく友達の家へ遊びに行きましたが、当時はどの家にも軍服姿の写真が一番大切な部屋に掛けられていました。お国のためにと戦地へ出兵し、ほとんどが最前線で戦死された兵隊さんでした。

 家族の大切な命が、若くして天に召されたのです。残された家族の気持ちが、いくつになっても私の心に重くのしかかります。お盆にふるさとに帰り、お墓参りをして祈る人々の姿に接すると、家族愛に心打たれます。

 戦争はまだ終わっていないのです。

 そして、平和で恵まれた夏休みの日々を過ごしている若者達を、戦場に送ってはならない、決して戦争の悲劇を忘れてはならないと思います。

 カトリックの典礼暦で8月15日は、聖マリアの被昇天祭です。終戦記念日でもあるこの日、人間として生涯を送られた聖マリアの取り次ぎによって、世界中の平和を祈りたいと思います。


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