よろこび

三宮 麻由子

今日の心の糧イメージ

 日本には古来から、前祝によって幸運を引き寄せるという一種の引き寄せ術がある、と書かれた、ひすいこたろう・大嶋啓介著作の「前祝いの法則」を読みました。物事に望むとき、前祝いをしてあたかもすべてが成功したかのように振る舞い、それを実現しようとするのだそうです。

 この本の著者は実際に、多くの「前祝」によって信じられない夢を叶えた経験談を書いています。歌手の武田鉄矢さんの母上が、売れない時代の息子さんに、売れたときの前祝として乾杯させたところ、本当に人気スターになったというのも実話なのだとか。

 それで思い出したのが、私の応援歌の一つである黒人霊歌です。

「We Shall Overcome」(われわれは勝利する)という歌です。

 ~われわれは勝利する、いつか。心の奥深くで、私は信じる。われわれはいつか勝利する~

 就職や入学のたびにあらゆる門戸が閉じられていた学生時代、アメリカ留学していたときに教わったこの歌は、いつしか応援歌になっていました。いまも、打ちのめされたとき心に流れてくる音楽の一つです。

 習った当時、この歌は未来への希望にすがって生きる黒人たちの叫びとだけ感じていました。しかし、試練を乗り越える経験を重ねるうちに、私はこの歌は勝利を確信し、先取りして喜んでいることに気付いたのです。「shall」という未来動詞には、自分で意思をもって「そのようにする」というニュアンスがあります。なるようになるというニュアンスの「will」とは違う。「勝利するでしょう」ではなく、「勝利してみせる」なのです。だから「shall」でないと駄目なのです。

 これは、未来の喜びを引き寄せる歌なのです。私も信じ続けたいと思います。神様はきっと、喜べる未来を用意してくださるのだと。

よろこび

遠山 満 神父

今日の心の糧イメージ

 日本にキリスト教を伝えて下さったフランシスコ・ザビエルの生誕地、スペインのザビエル城に、「微笑みの十字架」という十字架像があります。十字架上で筆舌に尽くし難い苦しみを経験されたイエス様が、何と十字架上で微笑みを浮かべていらっしゃるのです。何故それがお出来になったのか。想像の域を超えるものではありませんが、私は次のように思います。それは、「成し遂げられた」(ヨハネ19・30)と十字架上で仰ったイエス様の思いが、表情に現れたのではないかと。

 例えばアスリートの方々は、大会を目指して苦しい練習を続けます。本番で練習の成果を出し切れたならば、「やるだけやった」と言う喜びが込み上げて来るに違いありません。

 使徒パウロは、次のような言葉を残しています。「あなた方は知らないのですか。競技場で走る者は皆走るけれども、賞を受けるのは一人だけです。あなた方も賞を得るように走りなさい」。(1コリント9・24)また、目標に向かって走る事の大切さを、次のように述べています。「だから、私としては、やみくもに走ったりしないし、空を打つような拳闘もしません」。(同9・26)

 このような生涯を送ったからでしょうか。パウロは、人生の最後が近づいた時、次のように言っております。「世を去る時が近づきました。私は、戦いを立派に戦い抜き、決められた道を走り通し、信仰を守り抜きました。今や、義の栄冠を受けるばかりです」。(テモテ4・6~8)

 神様は、私達一人一人が、この世でも次の世でも、幸せになる為の計画をして下さっています。その道を見出し、ひたすら走り続ける事の中に、本当の生きる喜びがあるのではないかと思います。


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