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わたしの今の役割

橋本 勲 神父

今日の心の糧イメージ

 気付いてみればこの道50年、よくも飽きもせず畏れ多くもカトリック司祭としての道を歩き続けてきたものです。

 自分で感心してもしょうがないですが、約2万回近い回数、祭壇に登り続けてきたことを想えば、感慨ひとしおです。

 さてこの間どんな役割を演じて来たのかと自らに問うてみれば、水先案内人ならぬ「口先案内人」ということばが直ちに浮かんできます。

 それは口先ばかりだったという自戒を込めた振り返りであると同時に、どうせ口先でしか自分の役割を果たせないのであれば、その口先を磨いてみようという一種の開き直りでもあります。

 「大海の水も一滴一滴から成っている」。これはインドの極貧の地で、一人ひとり死に水をとってあげる活動に従事していたマザーテレサのことばです。

 そんな地道な活動では世の中は変わらないという問い掛けにこのように答えたのでした。

 人間一人でできることは僅かです。しかしその僅かが世界とつながり、世界を動かすのだという信念は、多くの人々の共感を得て、大きな広がりとなり、ノーベル平和賞にもつながりました。

 私たちは時々、世界の大きな流れに圧倒されて、一人ではどうにもならないと思い、いつしかその流れに飲み込まれてしまいます。

 そして、自分の無力さにこもり、その無力さに潰されてしまうことがあります。長いものには巻かれろというわけです。

 口先案内人の口先も微力だが無力ではない。世界と繋がる一滴となって、世界を救っている。

 マザーテレサの信念に触発され、口先が水先となり、さらに人間応援歌につながれば、50年の歳月、2万回近い祭壇登りもそんなに無駄ではなかったのではと自らを慰めるこの頃です。