年長者と共に

三宮 麻由子

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 いろいろな応募情報の中で、私が一番驚いたのは、90歳以上の方しか応募できない俳句コンテストでした。入選句を見て2度びっくり。高齢者と言われなければ気づかないような、若々しく現代的な感性あふれる句がいっぱいでした。以来私は、ぜひこのコンテストに応募したいものだと思うようになりました。そのときまで、このコンテストが続いてくれないと困るのですが。

 昭和後半生まれの世代は、ちょっと微妙な年齢体験をしていると思います。40代くらいになったときには、人生折り返し地点と言われていましたが、それから10年余りした辺りから、人生100年の時代となりました。いまや、40・50はまだまだひよっこといった雰囲気になっています。50代くらいは一番微妙で、家族形成からいえば一応子育てが終わり、一通りの家族体験が終わった状態なのですが、人生全体からいえば、その後にまだ半分ぐらいの時間がある状態なのです。しかも現代は、子育ての後に親の介護という新たな長期任務が生まれてきました。

 私が子どものころ、50代の方は年長者の印象でした。それがいま、50代はバリバリの現役であり、上の世代をサポートする年齢となっています。年長者の年齢が、ざっくりいって30年から40年くらい、違ってきているわけです。時代の移ろいも速まっており、年長者の経験則は必ずしも若者世代の参考資料とはならないケースも増えているでしょう。

 年長者に人生の先輩としての敬意を払うことは大切です。一方で、どの世代も一緒に協力し、新しい時代を切り開いていくという姿勢が、これからは必要になるように、私には思えるのです。

年長者と共に

越前 喜六 神父

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 年長者と共に生きている家族がどれほどいるか分かりませんが、かつての核家族とは言わなくても、親と同居している家族は少ないでしょう。

 わたしには親族が多いのですが、特に都会に住んでいる家族を見ると、ほとんど別居というか、それぞれの住まいに住んでいます。ただ、何かあると、親の家を訪ねたり、親が子どもの家を訪ねたりしてはいるようです。そういう場合、子どもが親にいろいろと話すことはあっても、見ていると、父親よりは、母親に話しているほうが多いようです。息子の嫁さんも、主人の母親には、同じ女性ということもあり、特に小さな子どもがいる場合は、子どものことを話題にしているようです。

 今の時代の問題は、後期高齢者の人口が増えていることです。わたしもその一人ですが、その高齢者と若者の交流が少ないことです。

 若者は学校にしろ、社会にしろ、いろいろな事柄に直面していますから、問題意識があります。年長者が少し勉強して、若者が興味を抱くような話題を提供できれば、まだいいのですが、若者の話題に年長者がどれほどついていけるでしょうか。

 また、若者と年長者の間には、世代のギャップがあるのは当然です。ですから、考え方、価値観、意見が違います。それは当然です。そういう状況を、まずあるがままに肯定し、受容することが大切です。その上で、どうするかというと、年長者は若者の問題意識に関心を持つことです。そして、彼らが話すとき、よく耳を傾けることです。

 わたしの欠点の一つですが、説教はするが、他者の話はなかなか真剣に聞かないということがあります。年長者と共に生きるには、つかず離れずの関係を保って、対話することでしょう。


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