ところで、聖書の中にも、「日々新たな生活をする」ことを勧める言葉があることは見逃せません。その一つは、新約聖書の中のコリント人への第2の手紙のなかの「私たちは、落胆しません。たとえ、私たちの『外なる人は』衰えていくとしても、私たちキリストと共にある『内なる人は』日々新たにされていきます。」という言葉。(4・16)もう一つは、旧約聖書の中の「青春の日々にこそ、お前の創造主に心を留めよ。苦しみの日々の来ないうちに、"年を重ねることに喜びはない"という年齢にならないうちに」という言葉であります。(コヘレト12・1)
いずれも、高齢化社会へ一つのアドバイスとして目を引きます。年をとり、若い時と違って、だんだんと腰も曲がり、力も無くなり目は見えにくくなり、耳も聞こえにくくなる。そんな時がきてから何もない、夢も希望もないと言わないように、若い時にしっかりと主なる神を信じて生きなさいと力説しているのですが、大いにうなずけることで、ぜひとも、そのように人生を全うしたいものであります。
16世紀、当時ドイツでは結婚式の時、生涯を共に歩むというシンボルとして、新郎、新婦の片方の腕にウエディングリボンを結ぶ習慣があったそうです が、ある一人の貴族が、妻が離婚したがっていることを知り、尊敬する神父に、今はもつれ絡まってしまった自分のウエディングリボンを持って相談に行ったそ うです。神父の聖母への熱い祈りが聞き入れられ、その夫婦は、生涯幸せな結婚生活を全うすることができたというお話です。
時は過ぎ、その貴族の孫が神父に叙階された時、祖父と神父との素晴らしいエピソードに感動した彼は、そのテーマで絵を依頼し、それが「結び目を解く聖母マリア」の絵として誕生したのです。
今年1年、私たちの歩む道にもつれや複雑な問題が起こったなら「結び目を解く聖母マリア」に祈ってみてください。そのもつれをきっと解いてくださるにちがいありません。