2018年07月28日の心の糧


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目覚める

橋本 勲 神父

今日の心の糧イメージ 聞き慣れないことばかもしれませんが、「トリクルダウン」ということばがあります。これは経済用語で「したたり落ちる」という意味をもったことばです。「富める者が富めば、貧しい者にも自然に富がしたたり落ちる」という経済理論なのだそうです。

今日本はこの経済理論のとおり、とても景気が良くなり、富がしたたり落ちているのだとか。それにしても、ちっとも実感が湧かないという声も聞きます。理論と実感の間にはかなりの隔たりがあるようです。

富める者が富めば、その富を独り占めにして仕舞い込んでしまうということにならなければいいのですが・・・。

 

神さまからのトリクルダウンは人間の比ではなく宇宙的規模でなされているということをキリスト者はよく理解しています。しかしこれも理論と実感の間にはかなりの隔たりが見られるのも事実です。

人間の場合、富める者はその富の1部分をしたたらせようとするのに、神さまは自分の富の全部、いや全部よりもっと多くしたたらせられたからです。

まさに人間の理解をはるかに超えているのです。

天地の無限の隔たりをものともせず、独り子をこの世界、それも粗末な馬小屋に宿らせ、この誕生の地に驚嘆していると、終の棲家が十字架の上だというのですから、これを理解せよという方が無理というものでしょう。

 

ただ、この理論と実感の間を埋める手段がないわけではありません。それはトリクル、すなわちしたたりですから、天を仰ぎ見て、したたりを目薬のように目に染み込ませ、全身に行き渡らせる工夫をするのです。くり返しくり返し。

そのうち次第に全身の目が覚めてくるのを感じたら、それこそこのくり返し作業の効果というものです。