新たな一歩

服部 剛

今日の心の糧イメージ

今年もすでに新たな日々が始まっており、私の胸には〈充実と発見の一年にしよう〉という静かな決意が芽生えています。

私はいつも日常の風景の中に、詩作の題材を探しています。それはどこか〈素朴な発見〉と出会うことと似ています。なぜ探すのか==。心の中で日常の風景と対話するような気持ちを養ううちに、その日その時に巡り会う人から、自分の目に映るものまでが、私には縁の糸でつながっている感覚になり、世界が少し違って視えてくるからです。

〈この世界は、私に何かを囁いている〉と気づく時、唯一無二の自分という存在が今・ここに立ち、息を吸っては吐いていること自体に、私は歓びを感じます。そして、〈2度と来ない今日という日を大切に生きたい〉という思いに突き動かされるのです。

昨年は私にとって悩みの多い1年でしたが、「心のケア」の活動をしているドイツ人の神父様に会う機会がありました。そのご高齢の神父様は、その日の私の姿を見るや否や、私が着ているTシャツにプリントされた文字を指さして、「"Drive On"とは、〈前に進む大きな力〉です」と教えてくださいました。家に帰り、辞書をひいて調べてみると、その言葉の意味はいくつかありましたが、最初に目に留まったのは、〈追い立てられる〉というものでした。今ひとつピンとこなくて、妻に問うてみると、「辞書の意味というよりも、"駆り立てる・前に進む"という感覚で受け取っていいのじゃないかしら」と言い、その表現は私の胸にストンと入りました。

今年1年、私は"Drive On"の精神で駆け抜けて、目に映る場面に足を踏み入れ、毎日の発見を探し求めて、歩みます。

新たな一歩

古川 利雅 神父

今日の心の糧イメージ

雪が降り積もった朝、誰もおらず車の轍もない道。最初に足跡をつけたい、雪を踏みしめてみたい。心躍りながら、寒さも忘れて雪道に飛び出して、歩き回ったことはありませんか。自分が記した最初の一歩はとても嬉しかったのではないでしょうか。

こんな一歩もあれば、勇気を持っても中々踏み出せない一歩も。高層ビルのエレベーターを降りて、大きな窓ガラスの前に、景色を見ようと人が沢山いるけれど、高さに足がすくんで、なかなか窓の方へ足が進まず、誰かから後押しされ、一歩だけ前に出たこととか。

この様に実際に足を踏み出す一歩もあれば、何かをしようと決断し、行う一歩もありますね。どちらかというとこの一歩の方が、私たちの日常の中では大きなことなのかも知れません。他の人にとっては簡単な一歩でも、自分は踏み出せない。躊躇してしまったり、たじろいで、歩み出せなかった経験は、誰しもあるのではないでしょうか。

そんな私を神さまは見守っていて下さいます。声は聞こえないけれど、姿は見えないけれど、一生懸命に歩みだそうとする私たちの姿を。きっと頑張れ、頑張れ、少しづつでいいから、無理しないでいいよ...って思いながら見守っておられるかも知れませんね。

できる人から見れば「な~んだ」と思う小さな一歩でも、難しい人にとっては大きな一歩。私たちは人からどう見られるかといろいろ考えて、一歩を踏み出せないことも多いですが、そのことは忘れて、神さまが暖かく見守っておられることを想うなら、勇気や力をいただき、新たな一歩を踏み出すことができるでしょう。

私たちが神さまの見守りの中で、今日も新たな一歩を踏み出すことができます様に。恵みの一日となります様に。


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