ぬくもり

中井 俊已

今日の心の糧イメージ

お母さんがニコニコしながら子どもを見つめる表情は、とても美しいものです。

子どももきっと、そう思っています。

笑顔のお母さんを子どもは大好きです。きっとお母さん自身も、怒っている自分よりも笑顔の自分の方が好きでしょう。

しかし、子どもが思い通りにならないと、お母さんはイライラしてきます。ガミガミ怒ってしまいます。それで、しつけがうまくいくかというと、いかないのです。むしろ、うまくいくお母さんは、ふつうニコニコしています。

うまくいくから、笑顔になるというよりも、笑顔だからうまくいくのです。

イソップ童話の「北風と太陽」の話を思い出してみましょう。

旅人の外套を脱がすために、北風は力いっぱい強い風を旅人に吹きつけ、外套を吹き飛ばそうとしました。

しかし、旅人は北風が力をこめて冷たい風を吹きつければ吹きつけるほど、必死で身を堅くして抵抗したのでした。

一方、太陽は旅人に笑いかけるように、にこやかに暖かな光を旅人に与え続けました。すると、旅人は着ている外套を脱ぎたくなって自分で脱いでしまったのです。

ガミガミ怒ってばかりの子育てでは、この北風と同じです。

子どもは、反発心をもち、親が望む行動はとりたがらないか、親のいうとおりにしたとしても、納得せずイヤイヤ従うでしょう。

ニコニコ笑顔での子育ては、太陽のやり方と同じです。子どもは母親の笑顔や温かさに見守られ、励まされ、自主性をもって行動していけるのです。

ところで、私たちのお母さん、マリア様は、この太陽ママのように私たちをいつも温かく見守っていてくださっています。

祈りを通して、マリア様の愛をいつも感じることができればいいですね。

ぬくもり

小川 靖忠 神父

今日の心の糧イメージ

言葉は、ある時は人の力となり、生きる元気をいただきます。また、その逆に、意気消沈させられてしまうものでもあります。

不思議なことに、傷つけられた「言葉」は、なかなか忘れないものです。だからこそ、ことばは生きものです。

その中で、「ぬくもり」は、実に、わたしたちに和みを与えてくれます。わずかに感じられるぬくみとは、どの程度のあたたかみなんでしょうか。熱すぎず、冷たすぎずのあたたかさとは。ひょっとして、肌に心地よい暖かみでしょうか。この感触を嫌がる人は、多分、いないのではないかと思います。

しかし、「ぬくもり」と聞きますと、物理的な暖かさをいうよりも、「人となり」の温かさが言われているような感じがしてなりません。

わが子をあやしているお母さんの姿は、まさに、温かみに満ちた顔、仕草にあふれています。子どもが病に罹ると、なりふり構わず看病します。それが夜中であろうと、難しい条件下であろうと、ひたすら子どもに向かっています。その姿を見て、わたしたちは、子どもに対する親としての「愛情」を感じます。それは、報いを求めない、まさしく、無上の、無償の愛です。

親子の間はもちろん、恋人同士や仲の良い人との間でも、そのことば、行い、所作等、すべてに「ほんわか」とした空気を感じませんか。本人たちにしか感知できない「ぬくもり」が漂っているのではないでしょうか。それこそ、程よい、気持ちのいい「ぬくもり」です。ここかしこに、こうした空気が流れるよう前に進みたいです。

神は、創造主としてわたしたちに人格を与えられました。裏切られても、拒否されてもわたしたちを愛してくださいます。この神の「ぬくもり」の空気を感じながら生きられたらいいですね。


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