誕生の喜び

古川 利雅 神父

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まだかな。もうすぐだよ。イルカの赤ちゃんが生まれたり、お馬の赤ちゃんが生まれたり、様々な生命の誕生をテレビなどを通して見ることができる時代に私たちは生きています。でも昔々の時代からお母さま方は、ご自分の忘れ得ないこととして、生命の誕生を体験しておられるのですね。赤ちゃんが生まれる時、お母さんには大きな産みの苦しみがあります。そして生まれると、苦しみを忘れて喜ぶ・・・。そんな光景が目に浮かびます。

さて、12月といえばクリスマス。神の独り子、救い主であるイエス・キリストが私たちのところに来られお生まれになった事を祝う特別な時。1人の小さないのちの誕生、救い主の誕生を世界中でお祝いします。

イエス様の誕生は、飼い葉桶の中に寝ている乳飲み子として、聖書の中で描かれています。救い主が、この様にしてお生れになった訳ですが、現代の私たちにとっては驚く様な誕生ですね。

ふと、イタリア人の神父様が、ご自分が生まれたのは家畜小屋、と仰っておられたのを思い出しました。寒い冬、家で唯一「暖」を取れるのが家畜小屋だったとのこと。それはほんの90年前のこと。誕生を見守り、喜ぶ姿。動物たちの暖かな温もり、人の暖かな心がそこに。

何もない様に思えても、温もりも暖かな心も、必要なものが全てそこにある。その様に考えながら、「誕生」について思いを巡らすと、今までとは違った想いがします。生命の誕生を、新たな眼差し、新たな心で眺めることができるのではないでしょうか。

誕生の喜び、いつまでも大切にできれば嬉しいですね。生命の誕生、全ての生命に思いを馳せながら、イエス様の誕生を、大切な方とともに迎えられてはいかがでしょうか?

誕生の喜び

岡野 絵里子

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「ジュラシックパーク」という映画を覚えていらっしゃるだろうか。6500万年前に絶滅した恐竜のDNAを復活させ、現代に生み出す物語である。

コスタリカ沖にある孤島に、恐竜のアトラクションパークが造られ、学者たちが招かれる。恐竜の化石を発掘、研究している古生物学者、グラント博士もその1人だ。せいぜい模型が飾ってある動物園だろうと思っていたところ、生きているブラキオサウルスが草の上を歩いているのを見て、驚愕する。地層に埋まった化石でしか知らなかった恐竜だ。立ち上がり、サングラスをはずそうとするが、手が激しく震えてしまう。口がきけない。奇跡を目の当たりにした人のように、博士は厳かな喜びに震えるのである。

このシーンは多くの人の心に印象深く残っているようだ。

私にとっても忘れられない。それは、信仰の素朴な原点を思い出させるからである。子どもの頃、イエス様に会いたいなあ、会えたらどんなに嬉しいだろう、と思っていたあの気持である。

長い間待ち望んでいた救い主の誕生を知った人々は、きっと深い喜びに満たされたことだろう。現代に生きる私たちも、年ごとのクリスマスを祝うことで、その喜びと感謝を心に刻み直す。クリスマスとは長い歳月をかけた祈りと願いであり、そして、その祈りに応えた大きな愛と恵みでもある。人々がそのことを思い出し、愛を分け合う時、そこに誰かの気配がある。2千年前にただ一度だけ来られたのではなく、人間のささやかな真心を受け取るために、何度でも訪れて来てくださるのだ。

目に見えなくても、私たちはその方を見上げている。やがて喜びが降りて来て、静かに私たちを満たしていく。


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