誕生の喜び

阿南 孝也

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娘に男の子が授かりました。娘の横には、生まれたばかりの小さな命がすやすやと眠っていました。父親となり、今度はおじいちゃんになる恵みをいただき、感慨もひとしおです。

娘から「お母さんになるの」と知らされた時、喜びとともに不思議な気持ちがしました。私にとって娘は、結婚してからも、いつまでも幼いままの存在だったからです。

つわりのきつい時期を乗り越えた頃のこと、久しぶりに街で会う約束をしました。近づいてくる娘の顔を見て、えっ?と驚いてしまったのです。いつの間にか、落ち着きのある大人の雰囲気を感じさせる女性になっていたからです。守るべき命があることは素晴らしい恵みだと思います。あの幼かった娘は、生き生きと喜びのうちに、生まれてくる子どもを迎えるべく、立派な母親に成長していたのです。

10月10日、母と子は一緒にいるのです。胎内の子の成長に合わせて、母親も成長していくのです。神様は何と素晴らしい仕組みを創られたことでしょう。新たな命が母親の胎内に宿り誕生へ至るプロセスは、神様の創造の業に触れる行為だからこその喜びがあるのだと思います。

「マリアは月が満ちて、初めての子を産み、布にくるんで飼い葉桶に寝かせた。宿屋には彼らの泊まる場所がなかったからである」と聖書は伝えています。(ルカ2・6~7)

私ならばかわいい娘や孫にそのようなことはさせられません。明るく清潔で、ゆっくり休める環境を最優先するでしょう。ところが神様の思いは想像を超えるものでした。命よりも物の豊かさを優先し、憎しみや争いの絶えない私たちを救うために、御独り子を、最も貧しい場所で、お与えくださいました。この神様の恵み、神様の愛の現れが、クリスマスなのです。

 

誕生の喜び

三宮 麻由子

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私が勤める外国通信社では、同僚が、生まれた赤ちゃんをオフィスにつれて挨拶にくることがあります。そんなとき、みんながかわりばんこに赤ちゃんをあやしたり、抱っこしてかわいがります。私も何人かの赤ちゃんを抱かせてもらいました。

女の子は赤ちゃんのとき「いい匂いがする」と言われるそうですが、たしかに抱っこすると甘いミルクの匂いが強く感じられます。男の子は、こんなに小さいのにと驚くほど骨格がしっかりし、すでに力強い体の作りをしていて、男性的な香りがします。

男の子を抱っこすると、私はいつも、「イエスさまもこんな感じだったのかしら」と考えます。夜中に馬小屋で生まれたイエス様も、しっかりした骨格と確かな生命の波動をもっておられたことでしょう。

しかし現実の誕生とは、ある日突然母の胎内に生を受け、気付いたら育ち始めており、さらにある日突然、見知らぬ世界に飛び出させられるという大変な作業です。多くの人はめでたいと喜びますが、生まれる当人にしてみたら嬉しくも何ともないでしょう。災難でさえあるかもしれません。私も含め、たいていの人が自分の誕生をおぼえていないのは、その苦しさを少しでも和らげるための神様の計らいなのでしょうか。

それでも、困難を乗り越えて命は絶えず生まれてきています。

その重みを真剣に受け止め、一人ひとりに与えられた将来の可能性を狭めないためにも、イエスの誕生を通して、もう一度命の波動を味わいたい。それが私にとっての12月です。

この月、イエスを囲むヨセフとマリアの像を見る機会が増えると思います。そんなときはぜひ、「自分も隣人も等しく命を与えられている」という大切な事実を、思い出してみましょう。


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