繋がり

新井 紀子

今日の心の糧イメージ

昨年の春に生まれた「イランカラプテ」という歌があります。

「イランカラプテ」とはアイヌ語で「今日は」という意味なのですが、あなたの心にそっと触れさせていただけませんか、という意味を持った奥ゆかしい言葉でもあるのです。この言葉を教えてくれたアイヌ民族の秋辺デボさんと夫が二人で作詞をしました。作曲は夫の新井満です。この歌を発表すると、アイヌ民族と和人とが初めてコラボした歌であると話題になり、新聞に報道されました。

さらに、幸運なことに北海道と内閣府が推進している「イランカラプテ運動」のイメージソングとして認定され、北海道庁のロビーで流されたり、電話の待ち受け音楽に採用されたりしました。

「イランカラプテ」という美しい言葉をもっと多くの人々に知ってもらいたい。夫と秋辺さんは音楽祭を開くことにしました。二人が呼びかけ人となって、秋辺さんの地元阿寒湖で「第一回イランカラプテ音楽祭in阿寒湖」が開かれました。

地元の小学生二人が開会を宣言しました。

出会いの言葉イランカラプテ、人と人が出会い、夢と夢が出会い、東と西の文化が出逢う...。出会いのとき、物語は始まる。

「イランカラプテ~君に逢えてよかった~」をイメージソングとする初めての音楽祭へようこそ。

地元のアーティスト、アイヌコタンの皆さん、秋辺デボさん、新井満、そして「イランカラプテ」をカバーしてくれることになったトワ・エ・モワの二人もかけつけてくれ、大盛況でした。

釧路からも札幌からも東京からも、多くのお客様が来てくれました。

出会いの歌「イランカラプテ」は、私たちをたくさんの人々と繋いでくれたのです。

繋がり

遠山 満 神父

今日の心の糧イメージ

現代ほど、個人情報が大切にされる社会はかつてなかったと思います。教会ですら、作成した名簿を配布するのが困難な時代です。何故、このような社会になってしまったのでしょうか。それは、個人情報を悪用する人が増えたからだと思います。

現代のような社会において誰もが求めているのは、安心して繋がれる人間関係ではないかと思います。その為には、一体何をしたら良いのでしょうか。

第1に、月並みかもしれませんが、人間関係のルールを守る人に私達がなるということだと思います。例えば、ルカ福音書15章に登場する弟のような、無秩序で、掟破りの生活をしていれば、誰とも繋がりを持てなくなってしまいます。ですから、私達自身が安心して繋がれる人間関係を築きたいなら、何よりも私達が人間関係のルールを守る人になるべきです。

他方、ルールを守る人は、守らない人に厳しくなりがちです。このような態度も、人間関係の繋がりを狭める要因の1つになると思います。先程の弟とともに登場する兄は、このような人の典型です。弟は自分の非を認め、悔い改めて帰宅し、父親は彼を喜び迎えましたが、兄は怒って、彼を受け入れることなく、父親に向かって「あなたのあの息子」と言っています。父親は、兄に、心を広げてほしい、愛において成長していってほしいと思っているのですが、兄はそれを拒否しています。

愛において成長することを拒否し続けることは罪です。私達は、このことを見落としがちです。このような態度が、人との繋がりを狭めてしまうことにもなります。

人間関係のルールを大切にすると共に、隣人との関わりで、自分の心を広げていくことができたらと思う昨今です。


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