繰り返し

植村 高雄

今日の心の糧イメージ

いつの頃か、地球に小さな生命が誕生し、その小さな遺伝子が繰り返し不思議な営みをして、沢山の動植物や素敵な人間を生み出してきました。現在も人は、色々の営みを繰り返して生き続けています。この「繰り返し現象」は人間ばかりでなく森の木々の四季や大海原の波のように「地球の生命体の証」のようです。

さて「繰り返し現象」には実に深い意味があるようで、子供の学習、武道の修行、歴史上の大戦争もありますが、私がいつも不思議に思いますのが「人間の愛の世界」です。

ギリシャ神話、日本の神話、あちこちの古くからの民話、美しい愛もあれば、暗く陰湿な愛の世界もあります。旧約聖書にも人々を涙と感動にさそう愛の世界もあれば、おぞましく不気味な愛の世界もあり、文学、絵画、音楽の世界でも大きなテーマが人間の愛の世界です。

スコットペックという心理学者は、名作「愛と心理療法」の中で「愛は訓練なり」と論説を展開し、人の愛は生まれながら、そう簡単に愛を身につけられるものではなく、日々の訓練によってしか完成されないと断言しています。

学校を卒業し社会に飛び込んだ若者は、職場、交友関連で今まで遭遇したことのないタイプの大人と出会い、混乱と自信喪失に陥りますが、職場で不信感、恥辱、疑惑、劣等感、孤立感、絶望感を味わっても、それは愛の訓練だと思い、乗り越える時、その体験の蓄積は若者を強く逞しく成長させます。

「地球の小さな生命が人類になった」ように素晴らしい愛の世界が自分のものとなるようです。「愛は訓練なり」という言葉は「愛そのものである全知全能の神様」からの贈り物のようです。

繰り返し

遠山 満 神父

今日の心の糧イメージ

先日、視聴者によってビデオに収められた、鴨の親子の行進行列がテレビで放映されていました。母鴨が先頭を行き、その後に10匹の子鴨が続いていました。親子が、舗装された車道を横切った時に事件が起こりました。母鴨は、車道から段差のある歩道へと難なく移りましたが、残る10匹の子鴨は、体が小さい為、段差のある歩道へと中々移ることができません。その内、6匹の子鴨は何とかして一段高い歩道へと飛び移ったのですが、残る4匹は、どうしても歩道へと移れません。諦めかけたその時、4匹の子鴨たちが、驚くべき行動を取りました。周囲を見回しながら、車道と歩道が同じ高さになっている所を発見し、そちらへと回り道をして、何とか母親について行きました。

この動画を見た時、パウロの言葉を思い出しました。「あなた方を襲った試練で、人間として耐えられないようなものはなかったはずです。神は真実な方です。あなた方を耐えられないような試練に遭わせるようなことはなさらず、試練と共に、それに耐えられるよう、逃れる道をも備えていて下さいます」。(1コリント10・13)

私は、最近、問題が重なり山のようになる時、「この山の向こうへ行くには、どうしたら良いだろうか」と思案することがあります。以前であれば、山の前で呆然として、へたっていた自分ですが、今は、何か抜け道があるはずと考えるのです。

パウロは言います。「私たちは知っているのです、苦難は忍耐を、忍耐は練達を、練達は希望を生むということを」。(ローマ5・3~4)

繰り返し苦難に遭っても、繰り返しそれを乗り越えさせて下さる神様の恵みに気づく時、私の心の中に希望が湧いてきます。


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