自分らしく

三宮 麻由子

今日の心の糧イメージ

仕事の翻訳で興味深い記事に出会いました。いま世界中で、旅客機の中での乗客トラブルが増えているそうです。グローバル化で社会が多様化してきて、常識から外れた行動を取る人が増え、社会もそれを許容するようになってきたことが理由のひとつではないか、とのコメントが引用されていました。人々が価値観の多様化に翻弄され、自分のあり所を見つけられなくなっているのかもしれません。

でも、本当に自由な人は、黙って「自分らしく」生きていると思います。真の自由、真の個性とは、声高に自分らしさをアピールせずとも自然に行動できること、そして周りがそれを認めていくことではないかと思うのです。

行動の判断基準はたくさんあります。正しいと信じたらまっすぐ進む、過ちに気付く力を養う、人と比べず自分のやり方を見つける、あるいは人と正しく比べて自分の状況を知る、誘惑に正しく対応する、ときには自分に対しても寛大になる、あるいは厳しく戒める、などなど。どんなとき、どの基準を適用して行動を決めるか、そのあり方が自分らしさなのではないでしょうか。自由に生きるためには、まずは自分の力で考え、実験する必要があると思います。

でも、どんなに考えてもがんばってもヒントが見つけられず、前に進めないことがあります。そのときの切り札として、祈りがあります。答えがなかなかもらえずあせったりもしますが、心の状態を言葉にして祈れるだけでも前進だと思います。苦しくて祈れないときは、人に祈って助けてもらいましょう。それでも、自分の中に埋もれてしまうよりずっと効果があります。考える前から神様が働いてくださることもあります。

諦めず、やってみようではありませんか。

自分らしく

古川 利雅 神父

今日の心の糧イメージ

10人10色、個性は様々。いつも磨かれたピカピカの靴を履いている人、腕時計をしない人。定期的に車を買い替えるご家庭や、テレビを持たないお家など。様々な生き方や、自分らしさ、家庭らしさがありますね。

この2月、高山右近が殉教者、教えに殉じて生きた人として、聖人の一つ前の位、福者になりました。右近は信仰を守るため、大名として持っていた領地や財産を手放し、さらには信仰を守っていたため国外に追放され、マニラで亡くなられました。

右近はお茶・茶道を嗜んだそうですが、乱世の折、お茶を好んだ武将たちは、よく戦いの前に、同じ茶碗で茶を飲み、一期一会の時を過ごしたと伺ったことがあります。最後の茶、今生の別れになる・・・、そんな思いで、大切な人との時を過ごしたのかも知れません。右近は、きっとその様にご自分の時、一度限りの人生を大切に歩まれたのでしょう。

私たちは、何を大切にして歩んでいるでしょうか。右近は大切なものを守るため、多くを手放しました。でも大切なものは決して手放さずに、右近らしく生きてゆかれたのですね。

慌ただしく日常を歩んでいる私達ですが、歩みを少し止めて、自分らしさって何だろう、自分らしさを生きているかなと考えて見ては如何でしょうか。もしかすると様々なことに流されて、本来の自分、生き方、大切なものを見失っていることに気づくかも知れませんね。

そのことに気づいたとすれば、それは決して小さなことではなく、大きな気づきだろうと思います。そして心新たに、大切なものを大事にしながら歩んでゆく時、その歩みは今までと違った歩みになるでしょう。新たな自分らしい歩みがどうか祝されたものとなります様に。


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